「気象病」、ご存知ですか?

 

「雨が降ると関節が痛い」「古傷が痛むとその後雨が降り出す」という話、誰しも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
これは「気象病」という病気で、中でも痛みを伴うものについては“天気痛”と呼ばれており、全国で1,000万人以上が悩まされているともいわれます。

近年の世界的な異常気象もあり、新たな病名として認知されつつある「気象病」。
気温・気圧・湿度の変化の大きいこの梅雨の時期だからこそ、「気象病」への対処法を知り、少しでも快適に心地よく過ごせるよう、あなたもセルフケアしてみませんか?

気象病はどのようにして起こるのか?

気圧医学の第一人者である佐藤純医師によると、「気象病」発生においては「気圧や温度といった環境の変化が自律神経のストレス反応を引き起こす」ということが重要なようです。
気象条件の中でも、大きく影響しているのは気圧であり、メカニズムとしては次のように考えられています。
①気圧の変化⇒②内耳の気圧センサーを刺激⇒③自律神経中枢⇒④交感神経の興奮⇒⑤痛み等の悪化

自律神経は交感神経と副交感神経に分かれていて、交感神経の活動が強くなれば副交感神経は弱くなり、副交感神経の活動が強くなれば交感神経は弱くなるというバランスで、身体のさまざまな臓器の機能を調節しています。
気圧が下がると、理論的には、その分外側に膨らむ力が体に対して働くことになるのですが、実際には自律神経の働きにより体が膨らむことはありません。
この変化をストレスと感じ、交感神経が活発になり、痛みが強くなるのです。

天気だけではなく、生活の中にも気圧が変化しやすい場所はたくさんあります。
例えば、飛行機、ロープウェイ、高層ビル、新幹線では、気圧は極端に変わります。
気温の場合、冷房の効いた寒いくらいのオフィスと暑い外、冬の家庭の中では暖房の効いたリビングと寒いトイレや浴室の脱衣場などです。
私たちは、このような環境に日常的にさらされているので、実際には身体の中で、意外に強い自律神経反応が起こっていて、それが知らず知らずのうちにストレスとなり、病気を発症したり悪化させているかもしれないということを意識しなければいけません。

気象病を予防するためのセルフケア

それでは、この「気象病」による体調不良を予防するためには、どのような対処法をとることができるのでしょうか。

日常生活の中で取り入れられそうな方法についてご紹介いたします。

1)記録をつける
気象病は、発生するタイミングの個人差が非常に大きく、あくまで個人で気象の変化と自分の体調を照らし合わせながら測るしかありません。
そのため、病状を客観的に知るためには、記録が非常に役立ちます。
下記のポイントを押さえて、簡潔な記録をつけることをお勧めします。
◉ 天気と自分の体の状態
◉ 痛みの強さ・弱さの移り変わり
◉ 症状の現れ方
◉ 症状が出る前の予兆

2)天気予報を活用する
気象病の予防には、どのような気象条件で症状が出るのかを知ることが大前提となります。
そのため、天気予報を有効に活用し、少なくとも下記の3つに注目するよう心がけましょう。

継続していく中で、どのような条件時に症状が出やすいのか、傾向を把握しやすくなるでしょう。
◉ 天気の変化
◉ 気圧の変化
◉ 最低気温

3)自律神経を整える
自律神経を整えることは、体の不調を解消するために最も大切なことです。
日常生活でできることから、自律神経を整えるためのセルフケアを心がけましょう。
◉ 朝食をしっかり食べる
◉ ぬるめのお湯にゆったりと浸かる(長風呂は避ける)
◉ 早寝早起きで、体内リズムを整える
◉ ウォーキングやサイクリングなど、軽めの運動を継続する

気象条件に左右されず日々を快適に過ごせるよう、予防のためのセルフケアを、ぜひお試しください。

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