私たちが「人のあら探し」に熱心なワケ

友人関係や恋人・家族関係、先輩・後輩、また職場での同僚・上司・部下との関係。
私たちは日々多くの人との付き合いを通して生活をしています。
関係性や親密度によって様々な人間関係が存在しますが、ときには疲れを感じたり、ストレスを感じることもあるでしょう。

食べ物や趣味同様、人に対する印象についても好き嫌いはあるかと思いますが、
皆さん、これらはふだん何を手掛かりに判断していますか?
今回は、人物評価に与える「バイアス」(偏り、先入観)についてわかりやすく解説します。

人は無意識にネガティブな情報を優先しがち

人と関わるとき、どんなことを基準に好き・嫌い、合う・合わないを決めていますか?
視覚的に得る見た目の印象、話し方、また話してみてわかる価値観、性格などなど。
人によって判断材料は様々あるかと思いますが、たとえば以下A~Cさんを見ていきましょう。

A)容姿が美しくファッションセンスもあるが、お金遣いが荒い人
B)優しく献身的で患者に寄り添うが、注射の技術が下手な看護師
C)明るく盛り上げ上手だが、礼儀のない人

さて、上記3人の人物評価、皆さんはどう捉えましたか?

人間、完璧な人などいませんし、誰にでも長所・欠点はあるものです。
ですが、このように長所・欠点を並べたとき、人は無意識のうちにネガティブな情報を優先するといいます。
これを、「ネガティビティバイアス」とよびます。

ネガティビティバイアスとは

心理学者のジョナサン・ハイトは、著書『しあわせ仮説』の中でこう述べています。

人の心というものは、良い物事にくらべて、同程度に悪い物事に対して、よりすばやく、強く、持続的に反応するということが心理学者によって繰り返し見出されている。
私たちの心は、脅威や侵害や失敗を発見して反応するように配線されているため、すべての物事を良く見ようとしても、単にできないのである。

つまり、ネガティブ感情が優位になってしまうのは自然なことであり、ポジティブ感情を増やすためには努力・意識が必要だということを意味しています。
先ほどは人物を例に挙げましたが、このネガティビティバイアスは、物事・出来事についても同じことが言えます。

● 旅行で宿泊施設を探している時に、口コミ評価10件のうち高評価9件、悪い評価が1件あった場合、数は少ないのに悪い評価のほうが気になってしまう。
● お店で店員の接客態度が悪かったとき、店内の雰囲気や商品、立地が良くても、2回目は行きたいと思えなくなってしまう。

ネガティブな項目の方を、情報としての価値を高く受け取る傾向があるのです。

減点評価で判断しないこと

付き合っている恋人に対して、「一度価値観の合わない部分、欠点が見えてしまうと、良い部分が急に薄れてしまう」と感じたこと、経験ありませんか?
嫌なところばかりに目を向け、その度に相手を減点方式で嫌いになっていく……・。
本当は、まだまだそれ以上に良いところもたくさんあるかもしれないのに、そこに目を向けるチャンスが遠のき、何だかもったいないと思いませんか?

もちろん、”悲しい”、”辛い”、”不安”といったネガティブ感情を持つのは人として当たり前のこと。
人には、ポジティブ感情とネガティブ感情の両方が必要なので、感情を全否定する必要はありません。
私たちは、放っておいてもネガティブ要素ばかりが目についてしまうので、日頃から積極的にポジティブ要素を見つけるようにしたいものですね!

 

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