医療者を職場でフル活用する方法

ストレスチェックを終えた事業場の皆様、「集団分析」は、どう活かしていますか?
「4つのケア」は、取り組まれていますか?
何もせずに数ヶ月…なんてことになっていませんか?

集団分析を活かす

事業場には、受検者の結果が開示されないため(受検者の同意を得ない限り)ストレスチェックの受検結果として職場に活かせるのは「集団分析」のみといえます。
厚生労働省の指す集団分析は以下の2種類です。

① 仕事のコントロール度 × 仕事の量的負担
② 同僚の支援 × 上司の支援

この結果は、表を見ただけではなかなかわかりづらいものです。
「受検しただけ」「分析の表をもらっただけ」とならないよう、その集団の強みや改善可能な点について、実施者などの “ 医療者 ” によりアドバイスを得ることが重要です。

懸念していたことが分析によって数字で顕著に表れたり、内側からは見えなかった観点からの指摘など、職場を「良くしよう」とする想いに沿った助言を得られるでしょう。

「4つのケア」覚えてますか?

ストレスチェックが始まる時に「4つのケア」の重要性について、事業場で議論がされたことと思います。
セルフケア(自分で行うケア)
・ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解
・ストレスへの気づき
・ストレスへの対処
ラインによるケア(管理監督者からのケア)
・職場環境等の把握と改善
・労働者からの相談対応
・職場復帰における支援、など
事業場内産業保健スタッフ等によるケア
・具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案
・個人の健康情報の取扱い
・事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口
・職場復帰における支援、など
事業場外資源によるケア
・情報提供や助言を受けるなど、サービスの活用
・ネットワークの形成
・職場復帰における支援、など

「いろいろあり過ぎて、取り組むのが大変」
「具体的に何をどうしたらいいのかわからない」
そう悩むことが多いのではないでしょうか。
悩んだまま、放置していませんか?
産業医や保健師等に相談しましたか?

事業場が具体的に取り組めること

セルフケア
・社員研修に「メンタルヘルス」についての講演を取り入れる
・社内や社外に相談窓口を設置し、孤立させない
ラインによるケア
・社内の相談窓口を明確にし、相談しやすい体制を確立する
・「管理職以上は年に2回以上、外部のメンタルヘルス研修に参加」など、学ぶ機会を作る
・復職者の支援を、上司や同僚だけでなくグループで行う
事業場内産業保健スタッフによるケア
・メンタルヘルス研修の年間計画をたて、講演依頼をする
・健診結果や過重労働による健康被害を切り離さずにトータルで管理する
・産業医や保健師等の医療職と、気になる社員の状況を共有する
・対応に困る出来事に対して相談できる社外相談窓口を持つ
事業場外資源によるケア
・公的なサービス機関や利用手続きを把握しておく
・契約中の産業医や保健師等と常に連絡がとれるようにする
・医療の専門家による外部相談窓口や、EAPを契約する
・衛生管理者や管理職に対しての相談窓口を確保する

管理職や衛生管理者も相談できる窓口を

肩書きや立場がある人こそ、悩みを相談する相手がいないもの。
部下の悩みに対応して、自分をケアする時間が取れない上司も多いことでしょう。
そんな人こそ、外部に相談できる体制の確立が必要となります。
同じ内容でも、部下の悩みと上司の悩みは立場が違えば対応も異なります。
一人で悩みを抱えがちなのは、中間管理職です。

月に1回産業医の訪問があるとしても、悩みや困りごとは日々生じます。
そんな時、業務の合間に相談できる「外部機関」が有効でしょう。
EAPのように、心理カウンセラーが在籍している企業が多い傾向もありますが、産業保健のキャリアを持つ、保健師や精神保健福祉士等が対応する相談窓口もあります。
医療の知識と経験に裏打ちされた専門家の力を、取り入れてみてはいかがでしょうか。

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