派遣労働者の安全は誰が守るのか

厚生労働省の労働者派遣事業報告書によると、全国で派遣労働者はおよそ263万人、派遣先件数は約83万件。

派遣労働者の労働災害を見てみると、製造業で働く派遣労働者の発生率が最も高く、労働災害の約6割を占め、中でも経験の浅い人の割合が高くなっています。

事前に危険を察知することも可能な製造業で、なぜ労働災害が多くなってしまうのか?
その要因の一つとして、安全衛生教育の怠りがあると思われます。

そこで今回は、派遣社員に対する安全衛生教育についておさらいしましょう。

あるべき安全衛生教育とは

安全衛生教育は、作業中に災害を起こさないようにするための事業者の責務と規定されていて、タイミング、業種などにより実施しなければならない教育内容が異なります。

まず、一般的な安全衛生教育として、雇入れ時教育があります。
これは文字通り派遣労働者を雇入れたときに行う教育であり、派遣元の事業者が行う必要があります。
また、派遣先の会社を変えた場合でも作業内容変更時教育として、その業務に対する教育を行わなければなりません。

一方、派遣労働者には指揮命令を行う派遣先企業が存在するため、その保護を行うために一部派遣先が責任をもって行う教育もあります。

それが法令で定められた危険・有害な業務に派遣労働者を従事させるときの特別教育、そして、受け入れている派遣労働者の作業内容を変更したときの作業内容変更時教育です。

このように派遣元と派遣先が双方で安全衛生教育を行うことが重要であり、それをなくして労働災害の防止はままなりません。

派遣元と派遣先の協力関係が大事

では、派遣元と派遣先が別々に教育を行えば事足りるでしょうか?
もちろんそんなことはありません。

派遣元では、どういった教育を行えばよいか分からないことが多くあります。
また、一般的な業種ごとの危険箇所や作業を学んでも、派遣先には派遣先独自の習慣や環境があるため、すべてをカバーすることはできません。
では、どうすればよいでしょうか?

必要なのは、派遣元と派遣先がしっかりと連携を行い、より確実な安全衛生教育を行うことです。
具体的な手順を説明していきましょう。

①派遣労働者の業務について把握する

まずは派遣先より、派遣労働者が行う業務の情報を派遣元へ連絡します。
その情報を基に、派遣元は必要な教育の手順や方法を構成し、必要に応じて派遣先へ教育方法の確認と指導を仰ぎましょう。

②派遣元での教育内容に不備や不足がないか確認を行う

上記①で作り上げた教育を基に、派遣元にて派遣労働者に安全衛生教育を行います。
そして、実施するだけでなく、派遣労働者が業務に就いて問題がないかどうかを派遣先が実施状況のヒアリングを行い確認します。

③派遣先でさらに細かい教育や、特別教育を行う

実際に派遣労働者が業務に就いた後は、派遣先の企業が責任を持って、事業場における細かい指導を行います。

また、就業制限業務に準ずる特定の業務に派遣労働者を従事させる場合においては、他の事業場で既に特別教育を受けているかどうか確かめ、十分な知識や技能を持っていない派遣労働者には、特別教育を実施しなければなりません。

派遣労働者の労働災害を防止するために

安全衛生教育とは、派遣元・派遣先がそれぞれ独自で行うものではなく、双方協力のうえ必要に応じたものを作り上げなければなりません。

派遣労働者は職場に定着しない者も多く、安全衛生教育が疎かになりがちな業態です。
そのため、十分な安全衛生教育を受けていない経験の浅い派遣労働者が労働災害を引き起こす悪循環を引き起こしています。

もちろん、派遣元および派遣先はそれぞれ労働災害に対する策を講じているでしょうが、それでも冒頭でも触れた通り、製造業においては派遣労働者の労働災害が多いことが指摘され、
その発生率は全労働者に比べても高くなっていることも報告されています。

平成27年に改正労働者派遣法が施行され、派遣元には安全衛生に関する措置として、安全衛生教育に関して派遣先と必要な連携を取ることが求められています。

今年も残すところ1ヶ月ほどとなりますが、12月1日から来年4月30日までは安全衛生教育促進運動期間です。
この期間を機に、安全衛生教育が十分であるかどうか見直してみてはいかがでしょうか。

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