在宅勤務はなぜ普及しないのか?

現在の労働環境の中で、保育園問題からもみられるように、今、「女性の働き方」は日本が抱える課題のひとつです。

女性の社会進出が急速に進んでいる一方で、結婚、出産、育児、介護などのさまざまな理由により、女性が自由に働き続けることは依然として難しいという現実があります。

こうした「女性の働き方」問題は、多くの企業においても解決したい、もしくは解決しなければならない課題のひとつなのではないでしょうか。

そこで現在、在宅勤務を社会に先駆けて導入しているトヨタ自動車に注目したいと思います。

トヨタ自動車の取り組み

トヨタ自動車の在宅勤務は従来、一部社員に限定されていましたが、今回の拡充によって、一般企業でいうところの事務系の総合職に当たる一定の資格以上を持つ約1.3万人の社員まで対象を広げることが決まりました。

近日中にも新制度を導入したい意向で、すでに会社側から労働組合に提案しており「育児・介護への対応だけでなく生産性向上」を目的としています。

在宅勤務のメリットは労働者側にとって大きく、仕事と育児や介護との両立に加えて、

通勤時間がなくなることで自由度が増し、肉体的にも精神的にも負担が軽減されます。

企業側も育児や介護を理由に優秀な人材が離職してしまうのを防ぐとともに、災害時の対応に強くなるなどの利点もあります。

政府も週1日以上終日在宅で就業する在宅勤務者(雇用型在宅テレワーカー)の全労働者数に占める割合を、2020年に10%以上にするなどの目標を定めていますが、大企業はともかく、中小企業を含めて在宅勤務が日本全国に広がりつつあるという兆候は、未だ見えません。

在宅勤務の課題点

1・企業の労務管理

在宅勤務では社員の顔が見えないので、会社は社員に対し「本当に仕事をしているだろうか」と考えてしまう一方、営業の社員などは、長期間にわたって在宅勤務をするのが難しいなどの不公平が生じる可能性あります。

また、社外でのパソコン利用による情報流出の防止策も大きな課題で、管理体制の強化もより求められます。

2・情報共有

ITインフラが整備されつつある中でも、共有が必要なファイルを特定の人のみ保持していたり、重要データがどこかのPCのローカルにしかないなど、オフィス内での情報共有が不十分な職場は、まずはオフィス内での見える化、共有化をしなければ、在宅勤務において情報共有が大きな課題となり得ます。

 

在宅勤務を普及させるには、在宅勤務を円滑に進めるための「仕組み」上の課題を、各企業が自社の現状に沿って解決していかなければなりません。

日本において在宅勤務の普及にはもう少し時間がかかりそうですが、将来的に主要なワークスタイルの一つになることは間違いないでしょう。

今後もトヨタ自動車を含め、実践企業のやり方を注視していくことが大切です。

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