就業規則の周知の徹底について

Q.就業規則を、労働者全員に周知をしていますか。

A.はい! 就業規則については、毎年、新入社員の研修で会社の人事担当責任者が全員に内容を口頭で説明しています。

正解です、と言いたいところですが……これだけでは労働安全衛生法の義務を果たしているとは言えません。

就業規則の周知方法

現在では、就業規則の周知について、以下の方法で行なわなければならないとされています。

(1)常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること
(2)書面を労働者に交付すること
(3)磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録しかつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること

上記、手続きをしていないと、周知されていないとして就業規則は無効であるとする判断が主流となっています。
以下では具体的な例をご紹介します。

平成15年10月10日最高裁第2小法廷判決 フジ興産事件

労働者側勝訴(労働者側敗訴の原判決を破棄・差戻し)

◆判決◆
使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。
そして、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生じるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要するものというべきである。

概要

労働者XはA社のエンジニアリングセンターにおいて勤務をしていましたが得意先の担当者の要望に十分に応じず、トラブルを発生させたり、上司に暴言を吐くなどとして職場の秩序を乱したことを理由に、約2ヶ月前に実施された新就業規則の懲戒規定に基づき、A社はXを懲戒解雇しました。
しかし、Xは本件の解雇の事実が発生した時点では同規則がセンターで周知されたという証拠がないとして当時のA社、取締役を懲戒解雇の違法・無効を主張し、損害賠償を請求しました。
大阪高裁(原審)は本件を、以下の理由で懲戒解雇を有効としXの請求をすべて棄却すべきとしました。

(1)それまでに新就業規則がA社の労働者らに周知されていたと認められるべき証拠はないXの同日以前の行為については、旧就業規則における 懲戒解雇事由が存するか否かについて検討すべきである
(2)新就業規則を労働基準監督署に届け出ていた事実があるので、就業規則が職場に備え付けられていなかったとしても、新就業規則がセンター勤務の労働者に効力を有しないと理解することはできない
(3)Xの行為は懲戒解雇事由として就業規則に定めがある

しかし、最高裁は、原審のこの判断には、審理不尽の結果、法令の適用を誤った違法があると判断し、原審を破棄し、差し戻しとしました。
レアケースかと思いますが、自社の社員がこのような、行動を起さないとも限りません。
企業としてのルールをしっかりと築くことで、未然に防ぐことはできます。
問題を起こす・起こした社員の対応に手を尽くすのではなく、会社のために一生懸命頑張る優秀な社員の方々の信頼を損なわないよう早い段階での対策が重要です。

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