派遣先で怪我をしました

現在では、正社員、契約社員、派遣社員等多様な労働契約が存在しています。

派遣先での怪我

今回は、派遣労働者が派遣先で怪我をした場合、労災保険の給付を受けるには、どのような手続をとればよいかを考えてみます。
労災給付を受けるためは、基本的には、派遣元の所在地を管轄する労働基準監督署に給付請求書を提出することになります。派遣労働者も労災保険の給付は一般の労働者と同じです。
派遣労働者に係る労災保険は、労働時間の長さや契約期間の長さにかかわらず、すべての派遣労働者が対象となり、雇用主である派遣元で加入手続をとる必要があります。
たとえば療養補償給付等について、労働基準監督署の手続書類には「事業主の証明を受けること」とされていますが、この事業主の証明というのは、災害発生の原因や状況等の事実に相違がない旨の
証明のことで、労災保険の認定・給付を行なうのはあくまでも労働基準監督署です。
ただし、派遣元に災害発生の原因や状況等に関する情報が伝わっていなければ、証明ができません。
このため派遣先の事業者は、当該労働災害について「労働者死傷病報告」を労働基準監督署に提出するとともに、その写しを派遣元に送付しなければならないことになっています。

<労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則>
第42条
派遣先の事業を行う者は、労働安全衛生規則第九十七条第一項の規定により派遣中の労働者に係る同項の報告書を所轄労働基準監督署長に提出したときは、遅滞なく、その写しを当該派遣中の労働者を雇用する派遣元の事業の事業者に送付しなければならない。

※「遅延なく」とは、「正当または合理的な理由(被災者本人と面談できない等)がある場合を除き、事情の許す限り最も速やかに」という意味であり、概ね1週間から2週間以内程度とされています。

なお、派遣元の事業者は、被災した労働者が労災保険給付の手続を行うために必要な助力を行うよう義務づけられていますが、労働基準監督署に給付請求するのは労働者本人または遺族となります。

<労災保険法施行規則>
第23条
保険給付を受けるべき者が、事故のため、みずから保険給付の請求その他の手続を行うことが困難である場合には、事業主は、その手続を行うことができるように助力しなければならない。
2 事業主は、保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、すみやかに証明をしなければならない。

事業者は、労災が起こった際には、保険の手続きをすれば終わりというわけではありません。
派遣先では、労働災害の発生原因を調査し、再発防止対策を講じる必要があります。
労働災害の発生原因や再発防止対策は、安全衛生委員会等で調査・審議する事項となっていますので、安全衛生委員会等で、調査・審議してください。

参考:労働安全衛生法

第10条
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。

第17条
事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。
一  労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。
二  労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。
三  前二号に掲げるもののほか、労働者の危険の防止に関する重要事項

第18条
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
一  労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
二  労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
三  労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
四  前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

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