雇入時に企業が必ず行わなければならない2つのこと

4月になり、多くの企業が新卒や中途の新入社員を迎え入れていることと思います。
労働安全衛生法では、雇入時に必ず企業が行わなければいけないことが2つあります。
どちらも社員の安全と健康に関わる重要な事項なので、この機会に改めて見直してみましょう。

雇入れ時の教育(労働安全衛生規則第35条)

労働者を雇い入れたときは、遅滞なく、次の事項について、教育を行なわなければならないことになっています。

これはパートタイマーやアルバイトなど短時間労働者に対しても実施は必要です。

1 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
2 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
3 作業手順に関すること。
4 作業開始時の点検に関すること。
5 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
6 整理、整頓(とん)及び清潔の保持に関すること。
7 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
8 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

ただし、事務関係の労働者 については、第1号から第4号までの事項についての教育を省略できます。

雇入時の健康診断(労働安全衛生規則第43条)

常時使用する労働者を雇い入れるときは、次の項目について健康診断を行わなければならないことになっています。
雇入時は、年齢にかかわらず、すべての項目について行う必要があります。

1 既往歴及び業務歴の調査
2 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(1,000ヘルツ及び4,000ヘルツの音に係る聴力をいう)の検査
4 胸部エックス線検査
5 血圧の測定
6 貧血検査(血色素量及び赤血球数の検査)
7 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP の検査)
8 血中脂質検査(LDL コレステロール、HDL コレステロール、血清トリグリセライドの検査)
9 血糖検査(HbA1cでも可)
10 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11 心電図検査

なお、医師による健康診断を受けた後、3か月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでないとなっています。

上記を実施していなかった時の罰則としては「50万円以下の罰金」が課せられることになります。
2016年1月に起きた深夜バスの事故では、企業の雇入時に健康診断が行われていなかったことが発覚し、社会的にも大問題となりました。
今後は企業コンプライアンスの観点でも、社員の安全や健康を守るためにも、もし上記のことを行っていない企業があれば、早急な是正が求められることになるでしょう。

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檜森 哲株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

総務・経理業務の経験から、企業の労働環境を向上できるような記事やトピックをお伝えしていきます。また、昨今の働き方改革に伴う業務効率化についても積極的に情報を発信していきたいと思います。
【保有資格】第一種衛生管理者
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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