労務改善と、会社に都合のいい労務管理を混同してないか?

とあるtweet

2月も終わりに近いある日、こんなtweetを見かけました。
「会社が労務管理のため導入した社労士がまともな感覚をお持ちの方だったようで、月の残業時間が40を超える勤務記録を見ると『働かせすぎです』とご忠告を頂けるようになり、それを受けた総務課がそのまま各部署に労務改善指示を出し、我々は月に40時間を超える残業については打刻しないこととなった」

社会保険労務士とこの会社との間でどのようなやり取りがあったのか、その詳細はわかりませんが、何のための社労士導入だったのかと疑ってしまう内容です。
労務改善ではなく、サービス残業を助長しただけの、改悪と言わざるをえません。
従業員からすれば、会社への不満が出て当然の内容です。

この企業は、残業を申請させないことで、従業員の労働時間を正確に把握することを放棄したようですが、このことは単にサービス残業を行わせているだけでなく、安全配慮義務も同様に放棄しているのです。

なぜ残業時間に制限が設けられているのか

これは労働者の命と健康を守り、家庭生活や社会生活の時間を確保するためです。
過大な残業は、メンタル不調者を増加させており、社会問題ともなっています。

そのために残業時間に制限を設け、また抑止力として労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)の規定があるのです。
残業にともなう残業代は、残業時間が多ければ多いほど、支払額も大きくなり、企業には負担です。

サービス残業をさせているこの企業の現状は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処するとされる違反行為であって、労働者の命と健康を損なわせる安全配慮義務違反でもあるのです。

今回のtweetは、社労士についてのものでしたが、産業医においても同じようなことが起こりうるのではないでしょうか。

情報発信にとどまらず、経過を見る

産業医が出席する衛生委員会では、従業員の健康を守るための話し合いが行われます。
そこでは、残業時間について話題に上ることもあるでしょう。
産業医が「残業をさせないで」と意見を述べたとしても、今回のように従業員が残業を申請しなくなるだけになってしまう危険性もあるのではないでしょうか。

そもそも、サービス残業を押しつける会社の体質こそが問題ですが、社労士や産業医が情報発信だけでなく、その後の経過をしっかり確認することで、サービス残業が減る可能性が増え、従業員の健康を守ることにつながるのではないかと思います。

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