パワハラ訴訟から学ぶ企業の安全配慮義務

大手電子メーカーの元従業員の30代男性が2013年に自殺をしたのは、上司の「パワーハラスメント」や「長時間労働」が原因だったとして、男性の遺族が会社に対し約1億500万円の損害賠償を求める訴訟が今月行われ、会社側が約1億500万円の請求額全ての支払いを受け入れる「認諾」を表明し終結しました。

自殺した男性は、上司から繰り返しパワハラを受けていただけでなく、日常的に長時間労働をしていたことが分かっており、労働基準監督署は、調査を行ったうえでこの件を労働災害と認定していました。

パワハラがもたらす被害

男性を自殺にまで追い込んでしまったパワハラ。
この男性は、上司から「バカヤロー」などの暴言を日常的に受けていたということです。
その結果、男性の自殺という最悪の事態を招いてしまったうえ、会社にとっても賠償やイメージダウンという大きなダメージをもたらしました。
このような事態を防ぐためにも、会社が日ごろから自社の安全配慮義務に目を向け、取り組んでいく必要があるのです。

パワハラは安全配慮義務違反

会社の安全配慮義務を定めている労働安全衛生法は、事故そのものを防止するだけでなく、労働者の健康と衛生の確保、快適な職場環境の形成を促進することが目的とされています。
パワハラは、その標的だけでなく、まわりでパワハラを目撃する従業員を不快にしたり士気を下げる要因となり、ひいては労働生産性の低下や人材流出も招きかねません。
会社はそういったことになってしまう前に、予防・対策を行う義務があるのです。

どこまでが「適正な範囲」か

まずは、社員ひとりひとりが「業務の適正な範囲」を自覚することが大切です。
業務上の適正な範囲で行われる指示や注意は、パワーハラスメントにはあたりません。
各職場で、何が業務の適正な範囲で、何がそうでないのか、その範囲を明確にする取組を行い共有することが大切です。
また、厚生労働省からパワハラ対策のマニュアルもリリースされていますので、これらを活用し、社全体でセミナーなどを実施するなどし、パワハラに関する認識を共有することも有効です。
◆パワーハラスメント対策導入マニュアル
http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/pdf/pwhr2014_manual.pdf

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