
厚労省が芳香族アミンによる健康障害の防止対策を発表
国内の染料・顔料メーカーの工場従業員と退職者のうち、複数名の従業員が膀胱がんを発症していると、所轄の労働局に報告がありました。
2015年12月18日厚生労働省発表: 芳香族アミンによる健康障害の防止対策について
年齢は40代後半から50代後半、その事業場での就労歴は18年から24年ほど。
今回の報告を受け、労働局・労働基準監督署および独立行政法人労働安全衛生総合研究所では、作業の実態や発生原因についての調査が進められているようです。
これまでの調査によると、膀胱がんを発症した従業員4名については、オルト-トルイジンをはじめとした芳香族アミンの原料から染料・顔料の中間体を製造する工程において、原料を反応させる作業や、生成物を乾燥させ製品にする作業などに従事していたことがわかっています。
健康障害の防止のための適切な対策を
厚生労働省から、一般社団法人日本化学工業協会および化成品工業協会に対して、健康障害の防止のための適切な対策をするよう指示が出ました。
<作業を行う際の対策ならびに従業員への対応>
・換気や防毒マスクの着用
・オルト−トルイジンを取り扱った経験がある従業員らに、膀胱がんに関する健康診断の実施
※今現在、これらの物質の製造などの禁止や、健康診断の実施等の義務付けはされていませんが、これらの物質を取り扱う事業者には、有害性等を確認するよう努めるほか、空気中の濃度が有害な程度にならないようにするため、発散源を密閉する等により適切に管理しながら使用することなどが求められています。
今回の事案をふまえ、膀胱がんとの関連があるとされているオルト-トルイジンを取り扱う事業場について、従業員のばく露防止と健康管理の徹底が図られるよう、労働局・労働基準監督署による調査・指導をするという発表もあり、労働現場の安全環境が改めて問われることになりそうです。