過重労働面談~本当に希望者だけでいいの?~

産業医面談について労働安全衛生法で定められているのは以下のような内容です。

(安衛法第66条の8、9、第104条)
事業者は、労働者の週40時間を超える労働が1月あたり100時間
(80時間超~100時間は努力義務)を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、
労働者の申し出を受けて、医師による面接指導を行わなければなりません。
(ただし、1ヶ月以内に面接指導を受けた労働者等で、
面接指導を受ける必要がないと医師が認めた者を除きます。)

面談の実施

■義務
月100時間を超える時間外労働・休日労働で疲労が蓄積している者(申出)

■努力義務
月80時間を超える時間外労働・休日労働で疲労が蓄積している者(申出)
事業場で定めた基準に該当する場合

安衛法に基づき、多くの企業が「希望者がいた場合」面談を実施しています。
ですが、過労死など長時間の労働が原因で死に至るケースが増えてきている今、
「希望者がいないから」や「80時間を超えていないから」という理由で
放置することは企業にとっても大きなリスクとなります。

実際に、50~60時間の時間外労働で過労死が認められる判例も出ています。
※2001年国立循環器病センターの看護師の過労死事件

過労死ライン

過労死ラインでも発症前の1~6ヶ月間に時間外労働が1ヶ月あたり約45時間を超える場合は
業務と発症との関連性が徐々に高くなり、また、発症前1ヶ月間に約100時間、
または発症前2~6ヶ月間に1ヶ月あたり約80時間を超える時間外労働があった場合は
「業務と発症との関連性が強い」としています。

厚生労働省から出ている「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」では、
下記のような方法で対策を講じる必要があると述べています。

衛生委員会等において下記事項の審議を行うこと

①面接指導等の実施方法及び実施体制に関すること
②面接指導等の申出が適切に行われるための環境整備に関すること
③面接指導等の申出を行ったことにより当該労働者に対して
 不利益な取扱いが 行われることがないようにするための対策に関すること。
④面接指導等を実施する場合における事業場で定める必要な措置の
 実施に関する基準の策定に関すること。
⑤事業場における長時間労働による健康障害防止対策の労働者への
 周知に関すること。

面接指導等の「実施方法」及び「実施体制」として下記を整備すること

①労働者が自己の労働時間数を確認できる仕組みの整備
②申出を行う際の様式の作成
③申出を行う窓口の設定

労働者が面談の「申出」を行えるような環境づくりを、
労働者の観点に立ち考える必要があります。
そのためには「面談」「産業医」についてしっかりと周知しないといけません。

事業者の安全配慮義務として、過重労働面談に関する規定を設け、
積極的に産業医との面談を実施をしていく必要があるのではないでしょうか。

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冨田さゆり株式会社ドクタートラスト 産業カウンセラー

投稿者プロフィール

ドクタートラストに入社して6年目、多くの民間企業・官公庁の健康管理に関わってきました。産業カウンセラーの資格を取得し、専門知識を深める日々です。対企業、対従業員、健康に働くためのアプローチは多種多様。各々の特性に合わせたアドバイスを心掛けています!
【保有資格】産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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