熱中症診療ガイドライン2015

梅雨明け後、急激な暑さとなったこの数日。
先週は各地で最高気温が35度以上の猛暑日が続き、総務省消防庁の発表によると、1週間の搬送者数は全国で6,100人余りに上り、週間での搬送数としては今年最多となっている。

熱中症の分類が、よりわかりやすく

熱中症は、「暑熱環境における身体適応の障害によって発生する状態の総称」と定義されている。
簡単にいえば、「気温・湿度の高い環境によって引き起こされる体調不良」といえるだろう。
代表的な症状により、従来はさらに熱痙攣、熱疲労、日射病など、様々な呼び方で表現されていた。
しかし、暑さによる症状の出現には個人差があり、時間経過によっても刻々と変化していくため、重症度を把握しにくいという問題点が指摘されていた。

そこで今回、日本救急医学会は、熱中症をその症状による分類にとらわれることなく、熱中症という一つの「症候群」として捉えた上で、診断基準を簡略化することで早期治療につなげようと、一般の方にも分かりやすい重症度分類を提案している。

3段階の重症度分類

こちらの新分類は、意識障害の有無などをもとに、「現場で対応可能」「受診が必要」「入院が必要」の3段階に単純化されている。
従来の、「熱射病」「日射病」「熱痙攣」といった区別にとらわれず、あらわれている症状をみて、こちらの3分類に当てはめて考えるというものだ。

<Ⅰ度>
●まずは現場で応急手当⇒改善見られなければ医療機関へ
・手足のしびれ
・めまい、立ちくらみ
・気分不快、ぼーっとする、生あくび
・大量の発汗

<Ⅱ度>
●速やかに医療機関へ受診、もしくは搬送
・頭痛
・吐き気、嘔吐
・倦怠感
・虚脱感
・集中力の低下

<Ⅲ度>
●入院加療が必要
・意識障害
・けいれん
・歩行困難
・体の熱感

経過を見守る場合に重要なのは、対象者を決して一人にしないということだ。
必ず誰かが付き添い、症状の推移を注意深く観察することが必要である。
たとえ、分類1の軽症の段階であっても、救護者の問いかけに対する回答がおかしくなったり、症状の進行など見られた際、迅速な対応がとれるようにしなくてはならないからだ。

どんな時に救急車を呼ぶべきか迷ったときは・・

対象者にある行動をさせることで、救急搬送すべきか否かを容易に判断することができる。
その目安となる行動とは、「冷たい飲み物が入ったペットボトルやコップなどを持ち、自分の力だけで水分を摂れるか」だ。
自力で水分補給ができない状況というのは、手足にしびれ、虚脱感があったり、吐き気・頭痛などの症状がある、また意識状態が不良であるなど、非常に危険な状況を表していることが多い。
ただし、意識状態の悪い方に対し、救護者の手により無理に水分を飲ませるようなことをしてはならない。
上手く飲み込めずに誤嚥した場合、窒息状態に陥ることもあるからだ。
この点に留意し、まずは判断に困った際の目安としてほしい。
熱中症は、医療機関に搬送される前の段階での適切な対処が非常に重要だ。
紹介したガイドラインは、医療従事者のみならず、熱中症患者に遭遇する可能性の高い学校や、熱中症リスクの高い職場など、ごく一般の方による活用も視野に入れて作成されており、実際ガイドライン本文にもその旨が明記されている。
いざ周囲にそのような方が現れた場合には、適切な対処ができるようぜひ活用していただきたい。

★熱中症診療ガイドライン2015

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