「主治医」?それとも「産業医」??

「主治医」と「産業医」の判断基準

Q.メンタル不調が原因で休職中の従業員がいます。復職のタイミングを模索していますが、従業員の主治医と企業の産業医では見解が異なっています。どちらの意見を尊重すれば良いですか?

A.結論から申しますと、「産業医」の意見を尊重すべきです。

労働安全衛生法
(産業医等)
第13条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。
(中略)
3 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない。
4 産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない。

ほとんどの企業様の就業規則には、“医師の判断”により、復職を許可する等の記載があると思います。
では、就業規則に定められた医師とは「主治医」のことか、従業員の「産業医」のことかを明記しているケースは少ないと思います。
しばしば人事部の方から質問を受けることがあります。

「主治医」と「産業医」では立場や判断基準が異なります。

主治医
「主治医」は、病気の治療をする医師であり、日常生活が送れるレベルまで回復しているかを主にみています。
そのため、「日常生活送れるレベル」 ⇒ 復職許可と診断されるケースが多く、「会社で働けるレベル(ストレス負荷がかかるレベル」かどうかを、判定してもらうことには、無理があります。
産業医
「産業医」は、会社内のその社員が復職する職場の環境(業務内容、職場内の対人関係の態度など)を把握できる立場にある医師として判定します。
通常は、主治医の診断を参考に、職場の環境を考慮の上、復職判断ができる医師です。

このように考えることが一般的です。
ただし、産業医が精神科系の専門医でない場合に、産業医の判定を尊重すべきかどうか?
復職者の意思(働きたいという意思)と異なる判定となったときに、問題となることがしばしばあるようです。
復職判定の際に、もっとも慎重に判断しなければならないことは、病気の再発であり、完全に回復していない状態で復職を認めてしまった場合、復職後にまた休職することになるということです。
産業医は、主治医の診断よりも、より安全に・より安心な判定をすることが多いのは、再発の可能性を考えてのことだと思います。
万が一、再発してしまった場合は、より重症化することが多分にあり、治療が長期化し、お薬の量が増え……いうことが容易に想像できます。
ですので、産業医の復職判定が主治医の診断よりも労働者にとって厳しい判定になる傾向が多いことを、ご理解していただきたく思います。

なお、最終的な復職判定は、医師の判定を参考に、事業者(人事部)が行わなければなりません!
“すべてを産業医任せ”ではいけませんので産業医と一体となって問題解決に向かってくださいね。

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藤原 実株式会社ドクタートラスト 大阪支店

投稿者プロフィール

ドクタートラストに入社後、早7年。業種規模問わず、さまざまな企業に訪問させていただいております。それらを踏まえ、アドバイスをさせていただきます! 産業保健についてより身近に感じていただけるよう、肩の力を抜いて情報をお届けします!
【保有資格】健康経営アドバイザー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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