扇風機で出来る熱中症対策
- 2015/6/25
- 労働環境

6月も終わりに近づき、7月に入ろうかとしている。
この季節、特に注意をしたいのが閉所や高温での熱中症だ。
先日、当ページでも紹介したとおり、熱中症による死傷災害者数は例年7~8月に集中している。
そこで今回は企業として出来る熱中症対策を考えていきたい。
そもそも熱中症とはなにか
運動や作業をすると私たちのからだの中で熱が生まれる。汗をかくことで表面上の熱が奪われていくと体温は下がっていき、正常な状態へと戻ることができる。
ところが、あまりに暑い環境に長くいると、体温調節機能が乱れて体外への熱の放出ができなくなり、体内に熱がこもって体温が上昇する。
また、急激に大量の汗をかくと、体内の水分と塩分が失われ、体液のバランスが崩れてしまい、それが筋肉や血流、神経などからだのさまざまな部分に影響を及ぼして、
けいれんやめまい、失神、頭痛、吐き気といった熱中症の症状があらわれる。これが熱中症と呼ばれる症状だ。
では、熱中症対策として企業は何が出来るだろうか?
企業としての対策案
企業としては、作業環境を適切に保つことや、休憩を多く与えることがまず思い浮かぶかもしれないが後手になってしまうこともあり、作業開始前の措置としておすすめできる、扇風機を用いた簡単な身体冷却方法をご紹介しよう。
スポーツ現場の研究では、「プレクーリング」という方法がある。運動を行う前に、身体冷却で体温を下げておくことで、体温上昇が遅れて起こるようにする。
この方法を建築現場・作業現場等でも用いて、高温となり得る作業場に入る前に扇風機で身体を冷やしておくという対策法だ。
扇風機の風を身体に当てることで「対流」による熱放散が促される。さらに「蒸散」による熱放散を加えるために、スプレーで身体を濡らしながら行うことも効果的だ。
体温は深部と表面で異なる。扇風機による身体冷却でも、送風中に深部体温はほとんど下がらない。しかし、送風が終わった後に深部体温は下がり始める。
したがって、扇風機で身体の表面だけを冷やしているようで、結果的には深部を冷やすことになる。
この効果は事前準備に余裕がある場合は、冷却時間を延ばすことでより大きな効果を得ることができる。
これからの季節、熱中症による死傷者を出さない為にも企業として取れる策をどんどん講じていく必要があるだろう。