
厚生労働省では、近年の過重労働の現状を顧みて昨年度より長時間労働削減推進本部設置等のさまざまな対策が行われている。
その中、昨年11月に行われた過重労働解消キャンペーン重点監督の実施状況は以下となっている。
・総実施事業場…4,561事業場
・労働基準関係法令違反が認められた事業場…3,811事業場
なんと対象事業場数のおよそ8割以上で何らかの労働環境の法令違反が発生していたのである。
その中でも、目立った主な違反行為として、「違法な時間外労働」が2,304事業場、「賃金不払い労働」が955事業場で認められたのであった。
過重労働への対策強化の内容
1. 月100時間超の残業が行われている事業場等に対する監督指導の徹底(平成27年1月から)
監督の結果、違反・問題等が認められた事業場に対しては、是正勧告書等を交付し、指導し、法違反を是正しない事業場は、送検も視野に入れて対応が行われる。
(送検した場合には企業名等を公表)
2. 監督指導・捜査体制の強化(平成27年4月から)
過重労働事案であって、複数の支店において労働者に健康被害のおそれがあるものや、犯罪事実の立証に高度な捜査技術が必要となるもの等に対する特別チーム「過重労働撲滅特別対策班」(通称「かとく」)が新設された。
3. 情報提供・収集体制の強化(平成27年1月から)
厚生労働省本省がインターネット上の求人情報等を監視・収集し、その情報を労働基準監督署による指導に活用されるのである。
違法な長時間労働を繰り返す企業に対する指導・公表
社会的に影響力の大きい企業が違法な長時間労働を複数の事業場で繰り返している場合、都道府県労働局長が経営のトップに対して、早期是正について指導すると同時に、その事実を公表するのである。
・指導、公表の対象とする基準は以下となっている。
1. 「社会的に影響力の大きい企業」であること。
2. 「違法な長時間労働」が「相当数の労働者」に認められ「一定期間内に複数の事業場で繰り返されている」こと。
(※1および2のいずれにも当てはまる場合が基準対象となっている)
過重労働は、ただ指導を行うだけで、なくしていくことは困難である。
しかし、その事実を受け入れ、指導に加えてその企業を世間に公表するということは大きなチャレンジではあるが、とても効果的な対策になるのではないであろうか。
今後も厚生労働省の、「指導と公表」の動きに注目をしていきたい。