責任者個人が訴えられた労災の判決(平成22年)

責任者個人が訴えられた

Q:人事ラインなど「責任者個人」が労災で訴えられたケースはありますか?
A:2010年5月25日付、京都地裁の判例をご紹介します。

飲食店従業員(以下Aさん)が急性心不全により死亡した事案につき、会社と社長や役員など4名の「個人」に対し、安全配慮義務違反による損害賠償責任を認めた事例です。
会社の取締役など4名の個人に対し、長時間労働を前提とした勤務体系や給与体系をとっており、労働者の生命・健康を損なわないような体制を構築していなかったとして会社法429条1項に基づく責任を認めました。

会社法
(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
429条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

Aさんの時間外労働時間は、発症前1か月で100時間を超え、月当たり平均の時間外労働時間は、発症前4か月はいずれも100時間を超えていました。
また、この会社では月80時間以上の残業が勤務スケジュールに組み込まれていました。

主にこれらの理由から、最高裁は以下のような判決を示しました。

Aさんの長時間労働かつ過重な業務であり、このような長時間労働等によりもたらされる睡眠不足に由来する疲労の蓄積が、血圧の上昇などを生じさせ、血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させる状況にあったことは疑いない。
したがって、Aさんの死亡が、死亡前の過重な業務により引き起こされたことは明らかでありAさんの死亡と業務との間に相当因果関係が認められる。

なお、この事件における総損害賠償額は、7,860万円でした。
賠償は、会社と、個人4名の連帯責任となり、個人が各々が負担した額までは不明ですが、社長以下、人事担当役員、人事部長、人事課長などの人事ライン部長、支店長、課長などの責任者としての職にある方は、社内体制の見直し、改善を図る必要があると思います。

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