花粉症の治療について
- 2015/3/4
- 雑学

日本人の4人に1人が花粉症と言われている。
国民病と表現しても過言ではないだろう。
抗アレルギー剤の内服が主流の治療法となっているが、これはあくまでも対症療法である。
昨年から(条件を満たせば)保険適用となる治療法があるので紹介する。
舌下免疫療法
免疫療法は、減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因、アレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法である。
減感作療法は体質改善のために通院を週1~2回して2年以上時間がかかる根気のいる治療法である。(個人差あり)
アレルゲン免疫療法には
・皮下注射法
・舌下免疫療法
の2種類の方法がある。
今回紹介する舌下免疫療法は、文字通り、舌下にスギ花粉の液をたらして、花粉症を治す(花粉の耐性をつけさせる)治療法である。
皮下注射法は比較的古くから行われているが、アナフィラキシーショックなど副作用の可能性、注射自体の痛みがストレスになる、通院の手間などがネックとなり、幅広く普及しているとは言えない。
対して、舌下免疫療法は副作用の心配が皮下注射法より少なく(安全性がより高い)、注射のような痛みは伴わない。
具体的な方法としては、パン片を舌下に置いて、そのパン片にスギ花粉のエキスを垂らし、少し待った後、飲み込むという要領で投与をする。
花粉が体内に入ると、免疫細胞によって花粉の情報が伝達、抗体が産生されてアレルギー反応が起こる。
この舌下免疫療法を実施することにによってこの花粉情報が伝達しづらくなり、抗体の産生量が減ってアレルギー症状が軽減していくのである。
なぜ、舌の下?
なぜわざわざ舌の下に?と不思議に思う方もいるだろう。
舌下から吸収すると、あごの下の左右にあるリンパ節にエキスが届きやすくなるのだ。リンパ節はアレルギー反応に深い関係のある免疫機能を持っている。
スギ花粉症の症状は鼻と目に集中しているため、顔に近いリンパ節というのも大きなポイントである。
いつでも始められるわけではない
メリットが多く、デメリットは少ない。
しかも昨年から保険適用となっているのであれば、すぐに始めたい所であるが、この治療法には、大きな注意点がある。
治療開始時期として、花粉飛散直前からの開始は推奨されない。
治療開始直後に花粉飛散期を迎えると副作用がより起こりやすくなるためである。
また、スギ花粉の液は、2~3年間の治療中はシーズン外でも毎日投与する必要がある。