
貧血とは
息切れや動悸、めまい、立ちくらみ、疲れやすい、顔色不良などの症状を感じることはないだろうか?このような症状は「貧血」が原因となっていることがある。貧血とは、赤血球もしくはヘモグロビンの量が少なくなった状態であり、様々な原因が考えられる。貧血には種類があり、食事など生活習慣の改善で対応できるものもあれば、専門的な治療を必要とする貧血もあるため注意が必要だ。
鉄欠乏性貧血
一般的に耳にするのが「鉄欠乏性貧血」であり、「貧血」全体の6〜8割を占めている。ヘモグロビンの材料である鉄が不足することでヘモグロビンが不足した状態だ。鉄が不足するのには以下のような原因が考えられる。
①鉄摂取の不足…偏食、急激なダイエットなど食生活の乱れによるもの。食事から摂取する鉄分が不足することが原因。
②鉄の損失…癌など腫瘍からの出血によるもの。胃がん、大腸がんなど消化管からの出血であることが多い。これに加えて女性は婦人科系の癌、また月経過多による血液の喪失も考えられる。
③鉄の需要の増加…妊娠・授乳期など鉄の需要が普段より増加することによるもの。思春期の急激な成長に、鉄の産生に追いつかないこともある。
①や③の場合は、食生活の改善や必要に応じて鉄剤の内服などにより鉄の摂取量を増やして改善することができる。しかし②のように他の病気のせいで貧血になっている場合は、元の病気の治療が必須である。今まで貧血でなかったのに急に健康診断で貧血と言われた場合は、②のように他の病気から貧血を起こしている可能性があるため精密検査が必要だ。
その他の貧血
あまり耳慣れない病名だが、以下のような貧血もある。
・再生不良性貧血…血液を作っている骨髄の働きが低下する病気。赤血球だけでなく、白血球・血小板も作れなくなるため、全体的に血球が少なくなるという特徴がある。
・悪性貧血…赤血球を作る際に必要なビタミンが不足するために起こる貧血。
・溶血性貧血…赤血球が通常よりも早く壊れてしまう病気。
・腎性貧血…腎臓の機能が低下することで起こる貧血。腎臓からは、赤血球の産生を促進するエリスロポエチンというホルモンが分泌されており、そのホルモンが少なくなるために貧血が生じる。
いかがだろうか?貧血と一言で言っても、原因や対処は様々である。また貧血は徐々に進行している場合、体が貧血の状態に慣れてしまって自覚症状を伴わないことも多い。自覚症状を感じた時、健診で貧血と指摘された時は自己判断せず医療機関を受診して詳しい検査を受けるようにしたい。