
厚生労働大臣は、今月17日に足場からの墜落・転落災害の防止について、
「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」を労働政策審議会に諮問した。
その結果、同審議会から妥当という答申があり、改正作業が進むこととなった。
今回の改正の背景
足場からの墜落災害は長期的に減少傾向であったが、近年増加傾向にあり、
死傷墜落転落災害における足場からの墜落災害の割合も、増加している。
また、平成21年6月に行われた当災害にかかる、労働安全衛生規則の改正の際に、
施行後3年を目処に措置の効果を把握し、その結果に基づき必要な改正を行うと定められた。
今回はその定めに従い改正が行われる形だ。
上記のとおり、平成21年より足場等の墜落防止措置等の強化を図ってきたが、
その実施状況は極めて低いとの分析が出ている。
平成21年度から平成23年度の足場からの墜落災害を分析したものによれば、
防止措置が実施されていたものは1割を切っているとの報告もある。
改正内容
改正後は下記の点について、墜落防止案が強化される。
(1)足場の組立て等の作業にかかる特別教育の追加
(2)足場の作業床にかかる、墜落防止措置の充実
(3)足場の組立て等の作業にかかる、墜落防止措置の充実
(4)鋼管足場にかかる規定の見直し
(5)注文者の点検義務の充実
いずれの改正内容についても、現行の規則よりも強化されたものとなっており、
当該作業にかかる事業者や労働者には、改正内容の把握が必要である。
※現行と改正後の比較については、厚労省の概要を参照。
労働安全衛生規則の一部を改正する省令案の概要
改正後に必要な事業者の措置
今回の改正は平成27年7月1日の施行を予定されており、
特別教育の必要性が追加されるなど、事業者にとっては早急に取り組まなければならない
事項がいくつかある。
現行の安衛法規則が実施されていないことを受けた改正の為、
これまで以上に事業者を監視する目は厳しいものとなることが予想される。
事業者が今回の改正案を正確に把握した上で、
労働者へ周知・徹底を行うことが急務の課題となるだろう。