お酒の飲み過ぎはビタミンB1不足を招く

お酒の過飲や長時間飲み続けることは、体内のビタミンB1を奪い、その結果、糖質の代謝不足(⇒肥満につながる)や筋肉疲労・神経疲労などにつながります。
翌朝に疲労感が残らない酒量を知ることが大切でしょう。
自分で気づくことができない慢性的なビタミンB1不足は、じわじわと健康な体を蝕むことがあります。

アルコールが分解されるしくみ

お酒を飲んだ場合、「アルコール」は胃から約20%、小腸から残った部分が吸収され、血液中に溶け込む形で全身を駆け巡ります。
血液中の「アルコール」は、肝臓に運ばれ、アルコール脱水素酵素(ADH)の働きで体にとって有害な「アセトアルデヒド」という物質にまず変化します。(代謝:第1段階)

「アセトアルデヒド」は、主に二日酔いの症状(動悸や吐き気、頭痛など)を引き起こす原因物質であり、青臭い独特な刺激臭を発します。
ちなみに煙草の煙や自動車の排気ガスにも「アセトアルデヒド」が含まれており、発がん性物質のひとつとして知られています。

この有害物質を無害化させるのが、アルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)という酵素です。
この酵素が活躍することで、アセトアルデヒドは、無害な「酢酸」に変わり、体内から有害物質が抜けていきます。(代謝:第2段階)
無害となった酢酸は、血液として全身を駆け巡るうちに、水と炭酸ガスに分解され、体外へ尿や汗、呼気として排泄されていくのです。

お酒が強い人と弱い人の違い

お酒が強い人と弱い人の違いは、第2段階で活躍するアルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)という酵素の働きが強いか弱いかで決まります。
ALDH2には3つの型があり、黒人や欧米人のほぼ100%は、この酵素の働きが強い「活性型」です。
日本人の場合は、「活性型」が約54%、「活性型」にくらべ代謝速度が遅い「低活性型」の人が約38%。
まったく酵素活性がない「非活性型」の人が約8%であり、アジア人の中でも最もお酒が弱い民族のひとつなのです。

残念なことに「非活性型」の人は、遺伝子的に、いくら努力をしたとしてもお酒に強くなるということはありません。
毒性の強いアセトアルデヒドの分解能力がまったくないため、宴席などで飲酒を強要することは生命の危険につながることから、絶対に禁止です。
また、お酒を飲んで「顔が赤くなる人」の多くは、「低活性型」タイプであり、同様にお酒が強くなることはありません。
悪酔いするだけ損であり、自分の適量を見極めた上うえで飲み過ぎないことが必要です。

自分の型は、親から受け継いだ遺伝子の組み合わせにより、生まれた時点で決まります。
「低活性型」の人や「非活性型」の人が、飲酒量を増やし「鍛える」ことなどで後天的に「型」を変えることはできません。
お酒が健康を害すことから、自分の酒量を超えないことが大切でしょう。

アルコールの代謝(分解)に必要な時間

肝臓で代謝(分解)することができるアルコールの量は、成人男性(体重60~70kg)の場合、1時間に5~9gくらいです。(久里浜アルコール症センターの最近の実験による)

ビールのアルコール度数を5%とした場合、アルコール5g相当とは、おおむねビール100ml程度であり、アルコール9gは180ml程度です。
ビール1缶350mlのアルコールをALDH2が分解(解毒)するために必要な時間は、2時間から3時間半。
2缶ならば、4時間から7時間、アセトアルデヒドを無害化するためにかかります。

アルコールを過飲した場合

では、肝臓内で酵素(ALDH2)が解毒できる限界を超える量のアルコールを過飲してしまった場合はどうなるのでしょうか。

例えば、ビール5缶(ジョッキ5杯)を飲んだ場合、計算上は10時間から17時間半は、体内に有害なアセトアルデヒドが滞留し続け、翌朝二日酔いの症状で目を覚ますことになるはずです。
しかし、この程度の量であれば、酒豪と自負されている方々はまず二日酔いにはなりません。
なぜでしょうか?

ALDH2が分解しきれない量のアルコールが肝臓に入ってくると、アルコールは肝臓から肝静脈を通り、心臓に運ばれ、再度全身を駆けめぐります。
人間の体は良くできていて、この過程のなかで、人体にとって必要なビタミンB1を使う(犠牲にする)ことで、有害なアセトアルデヒドの分解を行うのです。
お酒を大量に飲めば飲むほど、体内から大量のビタミンB1が失われることになるといえますね。

ビタミンB1の役割

① 炭水化物(糖質)の代謝を助け、エネルギーに変える働きがあります。

お米を主食とする日本人はビタミンB1の消費量が大きく、更に普段から飲酒習慣がある人の場合、大量のビタミンB1を必要とします。

② 疲労を回復させる働きがあります。

疲労物質である乳酸を分解し、疲労の回復を助けます。

③ 筋肉や神経を正常に保つ働きがあります。

運動などの筋肉痛や関節痛を緩和させ、手足のしびれや眼精疲労などを予防・緩和させます。

④ 神経の集まる脳に栄養を運び神経伝達物質を正常に保つ働きがあります。

ビタミンB1は「精神のビタミン」「道徳のビタミン」などと呼ばれることがあります。

ビタミンB1が不足すると

① 肥満

糖質の代謝が不十分となり、代謝しきれなかった糖質が脂肪に変わり肥満の原因に

② 疲労感・倦怠感 ストレス イライラ など

ビタミンB1不足は即、疲労感につながります。お酒を飲んだ翌日の疲労感はビタミンB1不足のせいです。
また、ストレスやイライラなど精神的なダメージも無視できません。

③ 筋肉・神経系の疾病

筋肉痛 肩こり 腰痛 眼精疲労 手足のしびれ

④ 精神系の疾病

食欲不振 栄養失調 アルコール依存症 うつ病などの精神疾患

⑤ 脚気 手足のむくみ 動悸 糖尿病など

ビタミンB1を補うためには

お酒は、日本人が不足しがちなビタミンB1を大量に奪ってしまいます。
少量・適量であれば、お酒の良い効果もたくさんありますが、飲みすぎは、いけません。

食品からビタミンB1を摂取するには、玄米(白米はビタミンB1を失う筆頭格です)の糠(ぬか)の部分、豚肉、大豆などがいいでしょう。

お手軽に摂取するのであれば、「アリナミンA」などのビタミン剤を活用することが便利ですが、アセトアルデヒドの分解の際に、ビタミンB1を奪われない少量の酒量(適量)に留める我慢が大切です。

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(注意)
「アリナミンA」は、ビタミンB1を中心とするビタミンB群系のビタミン剤であり、ビタミンAの成分は含まれておりません。
最近では「ネオビタミン」など成分が変わらないジェネリックも格安で売られていますのでお試しください。

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高橋 雅彦

高橋 雅彦株式会社ドクタートラスト 代表取締役社長

投稿者プロフィール

1964年生まれ(50歳)1988年早大理工卒後、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)に入行。病院専門の融資課長などを経験し、2004年同行退社。2004年「医療」と「企業」を結ぶことを目的に「株式会社ドクタートラスト」を設立、社長就任。現在10期目。趣味は休日のパンづくり。 会社がある渋谷区松濤町会の理事を兼任。

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