産業医の解任を行う際の注意事項

今回は、産業医の解任を行う際の注意事項をわかりやすく解説します。

産業医解任に関する法律の定め

選任していた産業医をたとえば次のような理由で解任・交代することは、珍しいことではありません。

・ 産業医が毎月訪問してくれない。
・ 産業医が多忙となり、訪問日の調整や時間の延長などができなくなってきたため産業医を交代をする。
・ 内科の産業医を選任していたが、メンタルヘルス対策を強化するため精神科医と交代をする。

産業医の解任について、どのようなことが問題となるのか、法律の条文を見てみましょう。

労働安全衛生法
(産業医及び産業歯科医の職務等)
第14条
(中略)
4 事業者は、産業医が法第13条第3項の規定による勧告をしたこと又は前項の規定による勧告、指導若しくは助言をしたことを理由として、産業医に対し、解任その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

この条文の意味は、企業と産業医の意見が合わないということを理由に、産業医を解任するなど、不利益な取り扱いをしてはならないということです。
産業医の報酬を支払っているのは企業なのに、なぜ意見が合わない産業医を解任することができないのでしょうか?

悪質な産業医の解任例

以下では、悪質な産業医の解任例を見てみましょう。

ある従業員がメンタル不調となり休職となった。
3ヶ月後に、主治医から復職許可の診断書が出たため、復職判定の産業医面談を実施することになった。
人事部長は、「会社として復職を許可したくない」旨を事前に産業医に告げ、従業員に厳しい対応をするよう示唆する。
産業医面談の結果、病状の回復は明らかであり、産業医は復職を許可する旨の意見書を企業人事部に出そうとしたが、会社の方針と異なる意見を主張した産業医を人事部長はその場で解任した。

そもそも産業医は、業績アップのために導入されるものではなく、その事業場で働いている労働者の安全・健康を維持増進するために必要な措置を事業主に勧告・意見する立場にあります。
実際に復職させるか否かの最終判断は、企業(人事部長や社長など責任者)が行わなければなりません。
事業場は、産業医の勧告に必ずしも従う必要はないのだが、医療の専門家である産業医の勧告・意見を無視することは、企業(責任者)のリスクが極めて高い状態となります。
責任者のリスクを回避するために、産業医に企業の都合を押し付け、診断内容を操作させるようなことは到底許されるものではなく、このようなことを起こさせないために、産業医の解任については前述の定めがあるのです。

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