「特別な出来事」なくても労災認定。精神疾患による労災
- 2014/9/30
- 労働安全衛生法

某外食チェーンで、入社3ヶ月後に自殺した従業員の遺族が労災認定を求めた訴訟で、
9月18日、東京地裁の佐々木宗啓裁判長は「労災には当たらない」とする国の処分は取り消し、
仕事上のストレスが自殺の原因であると、労災を認める判決を下した。
精神障害の労災認定基準。厚生労働省
厚生労働省の基準では、
仕事以外の原因で精神疾患があった場合、
業務上で強い心理的負担がかかる「特別な出来事」が無ければ、
労災認定されないとされている。
「特別な出来事」としては、
月160時間を超える残業などがあげられている。
詳細⇒精神障害の労災認定
今回のケースでは、自殺した従業員が入社する3年前にうつ病の治療を受けており、
国は、上記基準を根拠とし、労災としては認められないと主張していた。
「特別な出来事」なくても労災認定に。画期的判断
今回、東京地裁の佐々木裁判長は、従業員のうつ症状に関して
入社前の時点で、症状は消えていたと指摘。
入社後の心理的負担が自殺の原因であるとし、
「特別な出来事」がなくても、労災認定できるケースと判断した。
基準だけに捉われず、実際の勤務状況、本人へのストレスの負担を加味しての判決となった。
今回の判決を受けての、厚生労働省の今後の動きにも注目したい。