過労死等防止対策推進法

現代において大きな社会問題となっている、過労死。
1980年代より社会的に提起され、特に近年では、過酷な労働により精神障害を患ってしまい、自ら命を絶ってしまう事案が増えています。
このような現状を打開するべく、第186回通常国会にて「過労死等防止対策推進法」が可決されました。

過労死等防止対策推進法とは

本法は、過労死等が多発し大きな社会問題となっていること、過労死等が本人のみならず、遺族や周囲の人、社会にとっても大きな損失であることから、過労死等への基本理念を定め、国や地方公共団体の責務を明らかにするとともに、過労死等を防止するための施策の基本となる事項を定めています。
平成26年6月27日の公布から、6ヶ月以内の政令で定める日に施行されます。

※過労死等

本法律において過労死等とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡、業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患もしくは、心臓疾患もしくは精神障害をいいます。
基本理念として、過労死等に関する実態の把握に対して有用なものとなるべきこと、成果を過労死等の効果的な防止のための取組に生かすこと、そして過労死等を防止することの重要性を広く国民に自覚させ、理解を深めることを掲げており、国・地方公共団体・事業主・国民がそれぞれ行うべきこととして、下記を定めています。
【国】
・ 過労死等の防止のための対策を効果的に推進する責務を有する。
・ 過労死等に関する調査研究等。
【地方公共団体】
・ 国と協力しつつ過労死等の防止のための対策を効果的に推進するよう努めなければならない。
【国・地方公共団体】
・ 国民の自覚を促す為に、過労死等の防止の重要性、関心・理解を深められるような施策。
・ 過労死等のおそれがある者および、その親族等が相談できる機会の確保および、早期に対処を行えるような体制の整備。
・ 相談に応じる者(産業医等)に対する研修の機会の確保。
【事業主】
国および地方公共団体が実施する過労死等の防止のための対策に協力するよう努めなければならない。
【国民】
過労死等を防止することの重要性を自覚し、関心と理解を深めるよう努めなければならない。
【その他】
・ 11月を過労死等防止啓発月間とし、啓発事業を行う。
・ 厚生労働省に過労死等防止対策推進協議会を置く。
・ 政府は過労死等の防止のための対策に関する大綱を定めなければならない。

本法では、各方面に対する責務が記載されており、官民一体となり対策に乗り出すという、強い意思を伺うことができます。

法律に対する懸念点

今回の法律では、過労死を根絶するために、もっとも有効であろう労働時間の上限を決めるという点は触れられていません。
また、具体的にどのような対策を行うかも記載されていません。
実態の把握⇒対処の実施⇒結果の報告⇒防止への啓発が、大まかな流れとなっていると考えていいでしょう。
調査を行い、実態の把握をした結果、改善すべき点が明確に浮き彫りとなれば、過労死の防止という観点において有効な法律になりえると思います。
ただ、調査した結果、改善すべき点が具体的に明示されなければ、今後も過労死等による被害者は増加の一途を辿ってしまうおそれがあります。
それでは、実際に過労死等を防止するためには何が必要でしょうか。

防止として機能させるために

具体的な対策法が明記されていないことから、防止のための対策を効果的に”どう”推進するか、推進された対策を企業が”どこまで”協力するか、そして個人個人が単に頭で理解するだけでなく”実行する”ことが必要な核となります。
なお、法律の施行後3年を目途として、状況を勘案し検討された結果、必要であると認められた場合は検討結果に基づいた措置を講ずるものとされています。
本法を真に過労死等防止への対策とするためには、国や地方公共団体から対策として打ち出された施策を、社内でただ周知するだけではなく、経営層から労働者まで一体となって取り組めるかどうかが今後の焦点となるでしょう。

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