
厚生労働大臣は、2014年1月23日、
「労働安全衛生法の一部を改正する法律案要綱」について、労働政策審議会に諮問を行った。
今回の法案では6つのポイントが存在するが、本記事では、企業全般に係る下記の2点について述べる。
メンタルヘルス対策の充実・強化
・労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師・保健師による検査の実施を事業者に義務付け。
・事業者は、検査結果を通知された労働者の申出に応じて医師による面接指導を実施し、
その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮など、
適切な就業上の措置を講じなければならない。
メンタルヘルス対策に関しては、
現在大きな問題となっているメンタル対策について強化するためだが、
ストレスチェック等の名目で既に実施されている企業も多いだろう。
しかし今後、この法律が施行された場合には、大小問わず、全ての企業が実施しなければならない。
受動喫煙防止対策の推進
・受動喫煙防止のため、全面禁煙・空間分煙その他の厚生労働省令で定める措置を、
講ずることを事業者の努力義務とする。
・受動喫煙防止対策に取り組む事業者に対し、国が必要な援助を行う。
二つ目は、受動喫煙防止の努力義務化だ。
今までは、健康増進法により、施設管理者に対して努力義務が課せられていた。
しかし、今回の法案では、全ての企業が講ずるべき対策として、
受動喫煙防止の努力義務が課せられることになる。
そのために、法案では国による援助も盛り込まれている。
また、本法案では、企業単位での改善計画を作成し、
改善を図るべきことを、厚生労働大臣が指示する仕組みを設けている。
計画作成などの指示に従わない企業に対しては、大臣が勧告し、
勧告に従わない場合は、企業名を公表出来ることも、盛り込まれている。
今回の法案が成立した場合、企業の負担は増加するだろう。
ただ、メンタルヘルス対策や受動喫煙の防止等、従業員の健康を守ることは、
企業の安全配慮義務として当然のことだ。
各企業については、実際に施行された際に適切な対応が出来るように、
もし不足していれば、社内の健康管理体制や、産業医の設置等、
足りない部分を補うことが早急に求められるだろう。