家族性高コレステロール血症(FH)をご存知ですか?
- 2014/8/9
- 健康管理

家族性高コレステロール血症(FH)とは?
食事を摂りすぎている訳でもなく、太っている訳でもなく、周りと同じように生活しているにも関わらず、異常にコレステロールの値が高くなる病気があることをご存知だろうか?
タイトルの「家族性高コレステロール血症」とは、生まれつきコレステロールに関わる遺伝子に異常があり、どんなに生活に気をつけていてもコレステロールが高くなってしまう病気なのだ。
人間の遺伝子は2対になっており、父親由来のものと母親由来のもので構成されている。
コレステロールに関わる遺伝子のうち1方にだけ異常のある場合を家族性高コレステロール血症の「ヘテロ接合体」、両方に異常のある場合を「ホモ接合体」と呼ぶ。
難病指定されている「ホモ接合体」
遺伝子の両方に異常があるホモ接合体は症状がより重く、総コレステロールが450mg/dl(正常値:120〜220mg/dl)を超え、幼い頃から動脈硬化が進行し、成人前に心筋梗塞を発症することもある。
ホモ接合体の発生頻度は約100万人に1人程度の非常に珍しい病気で、国の難病に指定されている。
意外と多い?「ヘテロ接合体」
一方ヘテロ接合体は遺伝子の1方のみに異常があるという状態であるため、ホモ接合体と比べると症状は軽い。
発生頻度はぐっと多くなり500人に1人。例えば5,000人規模の企業であれば、約10人はヘテロ接合体の患者が存在する計算になる。
そう考えると、決して数の少ない病気ではない。
ヘテロ接合体の場合はいわゆる生活習慣病としての高コレステロール血症の方とさほど値が変わらないため、血液検査の結果だけを見ても気付きにくい。
しかし、年齢が若いのに(20代、30代前半)LDLコレステロールが高い場合や体重・食生活に特に問題がない場合、両親が高コレステロール血症の場合などには、家族性高コレステロール血症の可能性を考える。
治療法は?
家族性高コレステロール血症のヘテロ接合体と考えられる場合でも、特別な治療や検査がある訳ではない。
結果的にコレステロールの値をコントロールして動脈硬化の進行を抑えることができれば良いので、薬物療法や食事療法・生活の改善等が治療の中心となる。
ただ、家族性高コレステロール血症の場合は生活習慣の改善だけでのコントロールは難しいため、薬物療法が必要となる。
面談をすると20代、30代の場合は「薬は出来るだけ飲みたくない」という方も多いのだが、若くして高いからこそ早めに病院を受診するようにして、適切な治療を受けて欲しいと思う。