救急救命士の実施可能な処置が拡大

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救急車に乗務し、病院に搬送するまでの間に、傷病者に対し救命措置を施す救急救命士。
ほとんどの自治体では、救急車に1人(隊員3人で1チーム)救急救命士が乗務している。
平成26年4月1日より実施可能な処置が増えた。(運用開始日)

これまで、救急救命士が医師の具体的な指示を受けて行うことができる処置は、心肺機能停止後の傷病者に対する処置に限られていた。
今後、心肺機能停止前の重度傷病者に対して早期に処置ができることで、救命効果の向上につながることが期待される。

具体的にどのようなことが出来ることになるのか?

(1)心肺機能停止前の静脈路確保と輸液
 血圧が低下して、心臓が停止する危険性があるショック状態の人や、
長時間にわたり狭い空間や機械等に身体が挟まれていた人に対して点滴を行う。

この業務の拡大の背景には、クラッシュシンドロームがある。
クラッシュシンドロームとは、
がれきなど重いものに腰や腕、脚などが長時間挟まれ、その後救助等で、圧迫から解放されたときに起こる。
筋肉が圧迫されると、筋肉細胞が障害・壊死を起こす。それに伴いミオグロビンやカリウムといった物質(血中に混じると毒性の高い物質)が蓄積される。
救助される等で、圧迫されていた部分が解放されると、血流を通じてそれらが急激に全身へ広がり、心臓の機能を悪化させる。
一命をとりとめたとしても、その後腎臓にもダメージを受け、亡くなる場合もある。
1995年の阪神・淡路大震災でがれきの下に埋まった状態から救出された人が数時間経った後に症状が急に悪化し、死亡した例は多数に上る。

このクラッシュシンドロームの応急処置として、早期の補液がある。補液により、血液中の毒素を薄める。
救命士が静脈路確保と輸液を実施出来るようになることにより、より早い補液開始が可能になることが期待出来る。

(2)血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与
 低血糖性の意識障害の可能性がある人に対して血糖測定を行い、
低血糖が確認された場合にはブドウ糖溶液を投与する。

糖尿病が強く疑われる成人男女が約950万人に上る。(2012年国民健康・栄養調査結果より)
元来血糖コントロールが不良であること、また、治療において、内服薬や注射にそれには血糖を下げる飲み薬やインスリンを使うことなどから、
血糖が下がり過ぎて、低血糖症状を引き起こすことがある。意識レベルが低下、昏睡状態に陥ることもある。
意識がはっきりしていれば、経口でブドウ糖などの糖分を摂取する方法があるが、意識レベルが低下してくると経口摂取は困難である。

救命士が血糖測定、ブドウ糖溶液の投与を実施出来るようになることにより、より早急に症状悪化を防げることが期待出来る。

中山 真樹

中山 真樹株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

看護師勤務を経て、現在は企業様を対象に保健師業務を行っております。企業の健康管理室に出向していた経験を、健康管理業務に活かしたいと思います。

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