心療内科で大丈夫?

心療内科で大丈夫?

メンタル急増が招いた「心療内科」の乱立

どこの街でも、駅前には「内科・心療内科」という看板を揚げているクリニックが山のようにある。
メンタルクリニックは、どこも患者で溢れていて、予約を取ろうとしても1か月待ち、2か月待ちという状態だ。
眠れなかったり、気分が沈むことは程度の差こそあれ、誰にでも起こる不調なのだが、最近は「2週間以上」この状態が続くようであれば病院で診察を受けるべきであると言われている。

メンタル疾患は、「早期発見と早期治療の開始」が病気を早く治すための鉄則だからだ。

産業保健の現場で、うつ病などの疾患を理由に会社を「休職または復職」する際に、人事部に提出される「診断書」をみると、ほとんどが「内科・心療内科」を標ぼうしているクリニックの医師が主治医として記入している。問題は、その内容であり、現在の病態や今後の見通しなどの記載が「曖昧かつ不可解」なコメントだらけであり、酷い場合は、患者本人が本人の都合を自書したものに印を押しただけと思われるものすらある。

心療内科医の実体はメンタルに不慣れな内科医

メンタル不調者の急激な増加に対し、適切な病気治療ができる精神科医は不足している。
ここに、精神医療の経験がない素人同然の内科医・消化器内科医・眼科医などが「心療内科医」として新規参入していることをどれくらいの人がご存じだろうか。

医師の資格があれば、専門外の科目であっても、すべての科目を標榜でき、治療行為ができると医師法で定められているため、専門外の科目を標榜することは違反ではないが、精神疾患の病名がついた場合は、精神科で治療を受ける必要があることを、もっと世間に広めていく必要がある。

心療内科は、軽症のうつ病を診るところという認識が定着しているが、本来の心療内科は、心身医学の内科領域を治療する科目であり、精神領域は扱わない。具体的な疾患としては「心身症」つまり原因がはっきりしない体に起こった体の異常を治す専門家であり、主にストレスなどに起因する「腸炎」「胃炎」「月経不順」「偏頭痛」などの病気を治療する。
心療内科は、内科に属し、脳内の治療を主とする精神医学領域は扱わない。
心身医学会では、「心療内科では、神経症やうつ病など他の精神障害に伴う身体症状は除外する。」ことを心療内科の定義としている。

精神疾患は、脳の病気である。脳は精神科医の専門分野である。内科医は体の異常を内科的に治す医師であり、脳内のバランスを調整する技術は持っていない。

精神疾患は、脳内の神経伝達物質の分泌異常(過不足)が主な原因であり、「向精神薬(抗うつ薬、精神安定薬、睡眠薬など)」により、脳内の異常を修復・調整する薬物療法が中心となる。また、病気になりやすい歪んだ考え方を改めることが病気の原因を解消することにつながるため、認知行動療法などを行い、時間をかけて患者と向き合うことが必要になる。

精神疾患に不慣れな「心療内科」では、風邪を診る程度の質問で病名が簡単に決まる。再診時はほぼ3分診療で、新しい薬を加算されていく。脳の設定を変更する向精神薬は、ごく軽い薬しか処方しないという方針のところと、患者の訴えにより、薬の種類をどんどん増やし、薬漬けにしてしまうところがある。

 

人間にとって最も大切な脳の治療を、不慣れな内科医に任せてしまっていいのだろうか。

本当の心療内科医に出会うことは少ない

医師の専門科目や専門性は、大学医学部時代から研修医時代の間にほぼ決まる。医師免許を取得後、研修医として大学附属病院や研修医を育てる資格を持った大病院で、全科目の臨床経験を積み、最終的に、どの科目に進むのかが決まる。
現在、日本の大学医学部は約80大学であるが、心療内科の講座・診療科を持つ大学は、
九州大学
東京大学
東邦大学
関西医科大学
鹿児島大学
の5大学しかない。
実際に、心療内科を教えることができる大学教授が日本には数名しかいないのだ。一方、精神科はすべての大学にある。

厚生労働省の2008年統計では、
医師の総数は26万人(263,540人)
その内、精神科医は   13,534人(4.7%)であるが、
心療内科医(内科医を除く)は 841人(0.3%)
と驚くほど少ない。その多くは、上記5大学で研究者として、また附属病院で働いているため、駅前のクリニックで働いている本当に専門性の高い「心療内科医」に出会える可能性は、限りなくゼロに近い。

 

どんな医師が、心療内科医になっていくのか。。。

彼らがなぜ、軽症の精神疾患を診るのか?治療が難しい(リスクの高い)専門外の「心療内科」医を兼務する必要があるのか。

答えは容易に推測できる。

内科の名医であれば、毎日待合室には患者が溢れている。日々忙しい内科の名医は、医療の質が下がることを嫌い、ネットでの露出や広告宣伝活動を最小限に留めている。わざわざ、不慣れな精神領域にまで手を広げる必要がない。

普段から、患者数が少ないため「経営が苦しい」、もしくは「お金儲け」を主眼としている内科医が、患者が急増している精神領域に新規参入しているのだ。 (もちろん、真剣に取り組んでいる医師もいるので、その見極めはご自身でお願いします)

 

現在急増しているメンタル不調者が、通院してくれれば、胃薬だけでなく、睡眠薬や精神安定剤、抗うつ薬などの保険点数の高い薬の処方と精神病としての高い治療費を加算できる。
さらには、胃薬なら3日分の処方だけで、次回の来院は見込めないが、向精神薬なら長期にわたって経過を観察する必要があり、来院数を大幅に増やすことができ、経営不振から脱却できる。

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資格を持った精神科医を主治医にすべき

売上至上主義的な「心療内科」は、診察時間が風邪並に短く、病状の診断が早い。(診断の速さを自慢する輩もたくさんいる。)また、処方する薬の種類が多く、自身の腕の良さ、薬の知識が豊富であることをひけらかし、必ず病気は治ると明言することが特徴である。

このような心療内科に通院しても、病状の改善は見込めず、それに気が付いた患者は早々に転院をするのだが、彼は転院されたとは思わず、自分の完治率が高いことを、うれしそうに製薬会社のMRなどの関係者に自慢する人が多い。

 

心療内科で、精神疾患系の病名が付された場合は、精神科へ。

出来れば、内科や心療内科を併設していない単科の「精神科」に一刻も早く転院してほしい。

 

 

なお、精神科医の技量を推測するうえで、非常に重要で確認しやすい資格がある。

 

 

それは「精神保健指定医」という資格である。

 

 

この資格を取得するには、指定の精神病院で5年以上の臨床経験を積み、成功した症例のレポートを提出し、合格率5割の試験に合格しなければならない。

精神科医1万3千人のうち約1万人程度が資格を有しているが、最低限、この資格を持っている医師を主治医とすべきである。

 

精神科医の名医とは

また、精神科の名医は、たくさんの患者を決して診ない。患者の話をしっかりと聞くためだ。愛想もあまり良くない。身なりもあまり良くない。ネットでの宣伝活動は最小限であり、極力、目立たないようにしている。
薬も少なく、容量も少ない。
向精神薬を多剤投与しても、効果よりも副作用が増えるばかりで病気の改善につながらないことを知っている。
決して(薬漬け)多剤投与はしない。

メンタル疾患は、脳の病気であり、適切な精神科医を主治医に選び、

早期に、適切な治療を開始をすることが大切です。

 

関連記事: 向精神病薬の多剤投与問題 見直しへ

 

 

高橋 雅彦

高橋 雅彦株式会社ドクタートラスト 代表取締役社長

投稿者プロフィール

1964年生まれ(50歳)1988年早大理工卒後、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)に入行。病院専門の融資課長などを経験し、2004年同行退社。2004年「医療」と「企業」を結ぶことを目的に「株式会社ドクタートラスト」を設立、社長就任。現在10期目。趣味は休日のパンづくり。 会社がある渋谷区松濤町会の理事を兼任。

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