冬の怖い“ヒートショック”

皆さんは、ヒートショックという言葉を聞いたことはありますか?

この時期、寒い冬場は例年入浴中の急死が多く報告されていますが、
その数は年間約1万7000人と推定されています。(東京都健康長寿医療センター調べ)
1月中旬以降は、強い寒波の影響で日本各地で記録的な寒さが続いていますが、
室内においても、暖房で暖かい部屋と、暖房のない廊下・浴室・トイレでは、温度差が10度近くになることも稀ではないため、注意が必要です。

急激な温度差が突然死の引き金に

こうした温度差が、急激な血圧や脈拍の変動を引き起こし、身体に影響を及ぼすことを「ヒートショック」といいます。
この身体反応は心筋梗塞や脳出血、脳梗塞などによる突然死を引き起こす要因にもつながります。

下記のグラフは、東京都健康長寿医療センター研究所(東京都老人総合研究所)による、
ヒートショックに関連した入浴中の心肺停止者数を調べたものです。
その発生件数は、外気温が低くなる12月から1月にかけ急激に上昇し、もっとも少ない8月のおよそ11倍となっていることがわかります。

 

さて、寒い脱衣所で衣服を脱ぎ、ブルブル震えながら慌てて浴槽に入る、なんていうことはないでしょうか?
実はこれ、身体にものすごく負荷をかけている状態なのです。

ヒートショックで起こっていること(入浴の例)

1.寒い脱衣所で衣服を脱ぐことで、体から熱が奪われないよう血管は収縮し、血圧が上昇↑
2.浴槽に入った瞬間も、温熱刺激で一時的に血圧が上昇↑
3.身体が温まり始めると血管は拡張し、血圧は下降↓
4.入浴後、寒い脱衣所に戻ることで再び血管が収縮し、血圧が上昇↑

体全体が露出されるのは入浴時であるため、
ヒートショックによる突然死は、圧倒的にお風呂場・脱衣所が多いのです。

ヒートショックの影響を受けやすい人

●年齢
65歳以上

●持病
動脈硬化が進行(狭心症や心筋梗塞、脳出血や脳梗塞の方)
肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、糖尿病、不整脈

●入浴の習慣
一番風呂に入ることが多い
飲酒後の入浴
熱めのお風呂で長湯するのが好き

●居住
浴室・脱衣所が極端に寒い(寒くても、暖房器具がない)

予防策

・入浴前に脱衣所を暖めておき、温度差をなくす
・浴槽のフタを開けたり、予め温かいシャワーをまくなどして浴室内を暖める
・浴槽に入る前に、手足などの末梢から掛け湯をし、少しずつ体を温める
・入浴時間はほんのり汗ばむ程度にする
・湯船から出る際は、急に立ち上がらずゆっくりと出る
・飲酒後の入浴は避ける

ヒートショックの影響を受けやすい方が入浴される際は一番風呂にならないようにする、
また入浴中は家族が声をかける、といった配慮があると安心ですね。
健康な方でも、こうした温度差においては血圧が激しく変動しやすいため、この時期の入浴は温度管理に十分気をつけてください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

解説動画つき記事

  1. 【動画あり】2022年6月施行「改正公益通報者保護法」を専門家がわかりやすく解説!退職者や役員も保護対象になる⁉

一目置かれる健康知識

ページ上部へ戻る