ボランティア休暇の導入による3つのメリット

2019年10月には、令和最強と言われた台風19号が上陸し、日本全国に大きな爪痕を残しました。
豪雨により堤防の決壊や停電が起り、東海から東北にかけて広い範囲で影響がでており、被害が大きかった千葉県・茨城県・長野県ではボランティア活動を募集しています。

災害大国と呼ばれる日本ですが、この機会にボランティア休暇の導入を検討してみませんか?

ボランティア休暇とは?

ボランティア休暇制度とは、 労働者が自発的に無報酬で社会に貢献する活動を行う際、 その活動に必要な期間について付与される休暇です。
引用:厚生労働省「ボランティア休暇制度 導入事例集 2017」

厚生労働省が発表した「平成30年就労条件総合調査の概況」によると、有効回答数6,097社の中で4.3%がボランティア休暇を導入していました。
全体的な数値としては低いですが、従業員数が300人~999人未満の企業では10%を超え、さらに従業員人数が1,000人以上の企業では、導入率は22%まで増加します。
企業のCSR活動(社会貢献)にもつながるボランティア休暇は、大手企業では積極的に取り入れているところが多いようです。
また、2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控えた東京都では、ボランティア休暇制度準備助成金制度を実施しており、最大700社に20万円の助成金が手配されます。

【詳細はこちら】
東京都 TOKYOはたらくネット「ボランティア休暇制度整備助成金 概要」

ボランティア休暇のメリット

大手を中心に積極的に取り入れられているボランティア休暇ですが、企業や従業員に対してどのようなメリットがあるのかご紹介します。

1.会社貢献活動による企業イメージの向上

ボランティア活動を行うことにより、CRS活動にも繋がり、さらに企業のイメージアップにもつなげることができます。
特に地方では過疎化が進み、消防団体などの公共のための作業に対する人員不足が深刻化しています。
こうした地方ならではの課題に取り組むことにより、地域の人々や自治体からのイメージアップにつながります。
また、人材不足が懸念される業界では、こうした特別休暇のシステムがアピールポイントとなることもあり、積極的に導入している企業が増えてきています。

2.人材の育成

ボランティア活動の中にはチームワークを必要とする活動も多くあり、そうしたボランティア活動を通じてコミュニケーション能力やリーダーシップ力の向上効果も期待されています。
導入企業の中には海外へのボランティア活動を推薦している企業もあり、語学力の向上や多様な価値観を取り入れる機会にもつながります。

3.社会への帰属意識の醸成、貢献意欲の高まり

ボランティア休暇を活用している人は「人の役に立ちたい」「地域の復興や活性化に貢献したい」と考えている人が多く、実際に人から感謝される機会が増えることにより、仕事に対するモチベーションの向上に期待ができます。
特に普段の業務の中で、直接人に感謝される機会はあまり多くないのではないでしょうか。

また、ボランティア活動を通じて、メディアでは報道されない被災地の現状を把握できたり、地域ならではの課題に向き合う機会が増えます。
こうした課題を実際に目で見て感じることにより、社会についてじっくりと考える機会につながります。

企業の導入例

では、実際にボランティア休暇を取り入れている企業では、どれくらい支援を行っているのでしょうか。

1.給与の支給に関して

厚生労働省が発表した「平成30年就労条件総合調査の概況」では、特別休暇制度を取り入れている企業のうち、74%の企業が給与の全額支給、12%の企業が一部支給、そして13%が無給との結果となりました。
夏季休暇やリフレッシュ休暇の給与全額支給率が80%を超えているのを見ると、ボランティア休暇の全額支給をしている企業は少ないようですが、一部支給などで対応している企業もあるようです。

2.ボランティア活動の機会提供に関して

経団連が2018年に発表した「2017年度 社会貢献活動実績調査結果 概要」によると、337社のうち71%の企業がボランティア休暇・表彰等の制度を導入、またボランティア活動の情報提供を行っていると回答しました。
ボランティア保険などの加入費用など、ボランティア活動に関する金銭的支援を行っている企業はおよそ半数の49%、また、物資の提供や施設の開放を行っている企業も3割程度という結果になりました。

まだまだ認知が進んでいないボランティア休暇ですが、東日本大震災をきっかけに導入している企業は年々増加しています。
ぜひ今回の台風をきっかけに、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 厚生労働省「ボランティア休暇制度 導入事例集 2017」
・ 厚生労働省「平成 30 年就労条件総合調査の概況」
・ (一社)日本経済団体連合会 1%(ワンパーセント)クラブ「2017年度 社会貢献活動実績調査結果」概要

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信定祐希株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学卒業後、飲食業界に入社し、従業員満足度と顧客満足度のつながりが強さを実感してきました。お客さまを幸せにするためには、従業員自身の幸福度が高くないと実現ができません。しかしそれはどの業種においても言えることだと思っています。
ワークライフバランスを整え、活き活きとやりがいのある仕事ができる社会を目指して発信していきたいと思います。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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