生き生き生活は日々の行動から~「行動活性化」を活用しよう~ 

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秋の夜長、皆さんはどのようにお過ごしですか。
家族や友人たちと楽しく食事をしたり、スポーツをしたりしている方も多いかと思います。
一方で、ちょっと元気がない方も、もしかしたらいらっしゃるかも知れません。
日照時間が短くなる季節には特有のうつ病もあるので注意が必要です。

ここでは、少し元気がなくなってきたなあ、やる気が出ないなあ、という方向けのセルフケア方法をご紹介します。
それは、行動活性化のスキルを活用する方法です。

行動活性化とは

行動活性化とは、元来はうつ病の方々に対する治療法(認知行動療法)のひとつで、行動をすることによって気分や感情に良い影響を与えるという考えから生み出されたものです。

状況 ⇒ 行動 ⇒ 気分・感情

たとえば部屋を片づけなければならないと思っているものの、どこから手をつけたらよいかわからなくて無気力になっている時、皆さんはどうしますか。
「やる気が出るまでテレビを見ていよう」とソファに座ってテレビを見ながらゴロゴロした結果、いつまでたっても片づかない部屋が気になり、ますます気分が悪くなった経験はないでしょうか。
このような時は、少しでもいいので部屋の片づけを始めてみると、次第に気分が乗ってきて片づけもはかどることが多いものです。
行動が気分に影響を与えるということを私たちは多く経験しています。
行動活性化は、このような現象を理論化したものともいえるでしょう。

《行動活性化の実際》

それでは、実際に試してみましょう。

1.行動の記録をつける
まずは1週間、難しい場合は3日間でもいいので、毎時間の活動内容とその時の気分およびその強さを手帳などに記録します。
例)午後8時 帰宅してテレビを見ていると今日起こったことをずっと考えだす。憂うつ・強さ6

2.その中で、気分の特に悪くなる行動を探す
朝起きたときに会社に行きたくないのでベッドでゴロゴロしていると、さらにおっくうになる、など。

《留意点》
・ 本来やるべき行動を回避するために行っている行動はないか検討しましょう。
・ 上記1のように過去のことをずっと考えること(これを反すうといいます)も行動の一つとして気分の悪くなる行動と結びついていないか、検討しましょう。

3.この行動を別の行動に置き換え、1週間の予定に組み込む
上記2の場合、平日の朝はベッドでゴロゴロする代わりに辛くてもベッドから起きてシャワーを浴び、家の外で深呼吸をする、など。

4.置き換えた行動を最低3回は継続して試す
この新しい行動をした時の気分とその強さを記録します。

5.振り返る
1週間前の同じ状況の気分と比較し、新しい行動によって気分が良くなったか、それとも、悪くなったかなどを振り返ります。

コラム法との違い

産業保健新聞では、認知行動療法をいくつか紹介してきました。
最も代表的なものはコラム法です。

この技法は、認知が気分に影響を与えている、だから認知(「認知の歪み」など)を修正することにより気分を改善する、という考え方に基づいています。

状況 ⇒ 認知 ⇒ 気分・感情

しかし、今回紹介した行動活性化は、行動が気分に影響を与えるという考えがベースになっています。
この点がコラム法と異なります。

状況 ⇒ 行動 ⇒ 気分・感情

こころのABC活動

以前に「産業保健新聞」で紹介した「こころのABC活動」〔早稲田大学応用健康科学研究室(代表:竹中晃二教授)製作〕は、この行動活性化の理論を応用したものです。


この「こころのABC活動」では、最近、新しい動画がリリースされました。

【竹中研究室WEBサイト】
http://takenaka-waseda.jp/
⇒上記以外の関連動画も掲載されています。

今回の動画では、こころの不調を感じたときに行うことや決まった時間や場所で行うことをあらかじめ決めておくと良いなど、こころのABC活動を実行し、続けていくための具体的な工夫が紹介されています。
これらの「行動活性化」のスキルは、私たち自身のこころをケアして生き生きした毎日を過ごすのにきっと役立ちます。
ぜひ一度試してみてください。

【産業保健新聞に掲載された「冬季うつ」の記事】


【産業保健新聞に掲載された「コラム法」の記事】

【産業保健新聞に掲載された「こころのABC活動」の記事】

【引用・参考資料】
・ アディス,E.M.・マーテル,C.R.大野裕・岡本泰昌(監訳)・うつの行動活性化療法研究会(訳)『うつを克服するための行動活性化練習帳 認知行動療法の新しい技法』(創元社、2012年)
・ 熊野宏昭「新世代の認知行動療法 行動活性化療法とアクセプタンス&コミットメント・セラピーを中心に」(2019年10月15日付取得)
・ 早稲田大学応用健康科学研究室『できることから始めてみよう! こころのABC活動 実践ワークブック』(サンライフ企画、2016年)
・ 早稲田大学大学院人間科学研究科竹中研究室WEBサイト(2019年10月15日付取得)

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中島 健太

中島 健太株式会社ドクタートラスト 臨床心理士・産業カウンセラー

投稿者プロフィール

約20年間事務職に従事した後、ドクタートラストに入社。主に官公庁でのストレスチェックの受託業務を担当しています。
ストレスチェックは2015年12月に開始された新しい制度ですが、働く方のメンタルヘルスの改善に大いに役立つ可能性を秘めていると感じています。
「産業保健新聞」では、心理学分野から皆さまのメンタルヘルスに役立つ話題や、ストレスチェックに関連した話題を多く取り上げたいと思います。
【保有資格】臨床心理士、産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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