3年連続で待機児童数は減少~ 厚労省「保育所等関連状況取りまとめ」公表~

2019年9月6日、厚生労働省から「保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)」、「「子育て安心プラン」集計結果」が公表されました。
「保育所等関連状況取りまとめ」は、厚生労働省が毎年取りまとめ・公表しているもので、2019年4月1日の待機児童数などが明らかにされています。
また、「「子育て安心プラン」集計結果」は、「子育て安心プラン」への取り組み状況、および今後の見込みについて取りまとめたものです。

待機児童数は3年連続で減少

まずは、「保育所等関連状況取りまとめ」を見ていきます。
保育所などの定員数は、毎年増加傾向にあり2019年4月1日はおよそ289万人、保育所、認定こども園などの施設数も増加傾向にあり、2019年4月1日は、全国でおよそ36,000箇所となりました。
待機児童数については、3年連続で減少傾向にあり、具体的には以下のとおりです。

2017年:26,081人
2018年:19,895人
2019年:16,772人

2019年は2018年にくらべて3,123人減少していることがわかります。
この待機児童は、特に都市部(首都圏、近畿圏など)に集中しており、全待機児童のうち、63.3%はこれらで占められています。

待機児童が1,000人を超える都道府県

東京都:3,690人
沖縄県:1,702人
兵庫県:1,569人
福岡県:1,232人
埼玉県:1,208人
千葉県:1,020人

待機児童が0人の都道府県

青森県
富山県
石川県
山梨県
鳥取県
島根県

子育て安心プランとは

続いて「「子育て安心プラン」集計結果」を見ていきます。
「子育て安心プラン」とは、2017年に内閣府から示された施策で、2018~2020年度までの3年で、待機児童解消を図り、女性の就業率8割に対応できるよう、2020年度末までに32万人分の保育の受け皿を確保することとしており、次の6つを取り組みの柱としています。

① 保育の受け皿の拡大

・ 大規模マンションでの保育園の設置促進
・ 幼稚園における2歳児の受け入れや預かり保育の推進
・ 都市部における高騰した保育園の賃借料の補助
・ 市区町村ごとの待機児童解消の取り組み状況の公表

② 保育人材確保

・ 処遇改善を踏まえたキャリアアップのしくみの構築
・ 保育補助者から保育士になるための雇上げ支援の拡充
・ 保育士の子ども預かり支援の推進
・ 保育士の業務負担軽減のための支援

③ 保護者への「寄り添う支援」の普及促進

・ 「保育コンシェルジュ」による保護者のための出張相談
・ 待機児童数調査の適正化

④ 保育の質の確保

・ 地方単独保育施設の利用料支援
・ 認可外保育施設における事故報告と情報公表の推進
・ 災害共済給付の企業主導型保育、認可外保育施設への対象拡大

⑤ 持続可能な保育制度の確立

・保育実施に必要な安定財源の確保

⑥ 保育と連携した「働き方改革」

・ 男性による育児の推進
・ 研究会を開催し、育児休業制度のありかたを総合的に検討

「子育て安心プラン」の取り組み状況

今般公表された「「子育て安心プラン」集計結果」では、3年計画のうち、初年度(2018年度)の結果が明らかになっています。
まず、前記①保育の受け皿としては、市区町村でおよそ8.6万人分、企業主導型保育事業でおよそ2.7万人分の合計11.2万人分増加しています。
その結果、認可保育所と企業主導型保育事業の合計を合わせた「保育の受け皿」はおよそ305.6万人分となっています。
また、本稿執筆時点では、2020年度末までにおよそ29.7万人分の保育の受け皿を拡大する見込みです。

<参考>
厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)及び「子育て安心プラン」集計結果を公表」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

蜂谷未亜株式会社ドクタートラスト 編集長

投稿者プロフィール

出版社勤務を経てドクタートラストに入社。産業保健や健康経営などに関する最新動向をいち早く、そしてわかりやすく取り上げてまいります。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

この著者の最新の記事

関連記事

解説動画つき記事

  1. 【動画あり】2022年6月施行「改正公益通報者保護法」を専門家がわかりやすく解説!退職者や役員も保護対象になる⁉

一目置かれる健康知識

ページ上部へ戻る