2020年4月開始!同一労働同一賃金導入で求められる実務対応

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雇用形態に関わらない公正な待遇の確保に際し、同一企業内における正社員・非正規社員の間の不合理な待遇差の解消するために、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法が改正されます。
本改正は大企業は2020年4月1日から、中小企業は2021年4月1日から施行となります。
現時点で派遣労働者たちはどこまで本改正を理解しているのでしょうか。

詳細まで知っていた:わずか5%

日本労働組合連合会は、派遣労働者に対し、派遣労働に関する制度や法改正にどのような意識を持っているのかを調査しました。
同一賃金同一労働の実現に向けて労働者派遣法が改正されることを知っていたかという質問に対して、知っていた者は全体の51%程度。
そのうち詳細まで知っていたのはわずか5.2%でした。

法改正の目的とは

認知率がまだまだ低い本改正ですが、今回の法改正の目的とは何でしょうか。
それは、同一企業内における正社員と非正社員の間の不合理な待遇をなくし、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で柔軟な働き方を「選択できる」ようにすることです。

法改正の概要

厚生労働省「働き方改革~一億総活躍社会に向けて~」のパンフレットには、今回の法改正の概要として下記3点が紹介されています。

① 不合理な待遇差をなくすための規定の整備
② 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
③ 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)※4の規定の整備

① 不合理な待遇差をなくすための規定の整備

同一の企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間などで雇用形態による「不合理な待遇差」が禁止されます。
不合理な待遇差を禁止する「均衡待遇規定」、差別的取り扱いを禁止する「均等待遇規定」において、今までは規定の対象外となっていた雇用区分も対象に含める他、「配慮規定」を「規定」と改めたり、明確化したりと、内容が強化されます。
また、具体的にどのような待遇差が不合理にあたるのかを示したガイドラインも策定されています(「同一労働同一賃金ガイドライン案」)。

② 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

有期雇用労働者に関しては、雇入時の待遇内容(賃金、福利厚生、教育訓練)や待遇の決定に際しての考慮事項について、説明義務はありませんでしたが、こちらは義務化されます。
その他、非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など、自身の待遇について、事業主に説明を求めることができるようになります。
したがって、事業主は、説明を求められた場合きちんと説明をしなければなりません。

③ 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続の規定の整備

行政による助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定が整備されます。
行政ADRとは、事業主と労働者間の紛争を裁判せずに解決する手続きのことです。
手続きが簡易で、訴訟に比べ時間がかからないなど、当事者の負担が少ない制度です。
「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由」に関する説明についても、行政ADRの対象となります。

今回の法改正に向けて、厚生労働省は「パートタイム・有期雇用労働者法対応のための取組手順書」を発行しています。
この書よると、取り組むべき内容について以下のように紹介されています。
まずは、法の対象者となる雇用形態の社員が在籍しているかの確認。
対象者がいる場合は、待遇の違いを調べ、差があればなぜその違いが生じているのか調べましょう。
その違いが「不合理でない」とは言い難いケースでは、改善に向けて社内で検討していく必要があります。
この手順書には、マンガでわかりやすく事例が解説されており、事業主・人事労務担当者からの具体的な相談にも対応してくれる「働き方改革推進支援センター」も紹介されています。
大企業では2020年4月から施行開始となりますが、まずは、会社側も労働者側も今回の法改正をきちんと理解するところから始めていきましょう。

<参考>
・ 日本労働組合総連合会「派遣労働者に関する調査2019(PDF)」
・ 厚生労働省「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~(PDF)」
・ 厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働者法対応のための取組手順書(PDF)」

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一柳 朱里

一柳 朱里株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学ではスポーツ科学を専攻。水泳選手歴13年、その後スイミングのコーチ・インストラクターとして4年間、老若男女問わず指導に携わりました。スポーツクラブの会員のように健康意識の高い方だけでなく、働き盛りで忙しく、なかなか健康に意識を向けにくい方たちのサポートをしたいと思い、ドクタートラストに入社。「働く人を健康に」をテーマに、日々勉強です。
【保有資格】日本スポーツ協会公認スポーツリーダー

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