時間管理の意外な方法~アポイントとタスクと空白がカギ~

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梅雨が明けてあっという間に夏本番ですね。
皆さんはどのように夏を過ごす予定でしょうか。
仕事のある日に限っていえば、仕事終わりに同僚や友人と飲みに行ったり、ショッピングを楽しんだりする方も多いかと思います。
一方で、お盆休みを前にして忙しい方もいらっしゃるかと思います。
いずれにしても、時間が足りない、もっと時間が欲しい、という方も多いことでしょう。
そんなときに役立つ、時間管理の意外な方法を2つお伝えします。

やるべき仕事の実行日をスケジュールに書き込む

「時間」という視点で考えると、仕事の内容には大きく分けて以下の2種類があります。

(1)アポイント:日時が決まった仕事

たとえば来客との打ち合わせが明日の午後2時から1時間入っている場合など、あらかじめ仕事の日時が決まっているものを指します。

(2)タスク:自分で作業日を決められる仕事

たとえば、報告書を作成する、仕事の相手にメールを送るなど、いつやるかは(ある程度)自分で決められるものを指します。

アポイントは日時が決まっているため、当然ながらスケジュール帳などに記録して管理します。
では、タスクはどうでしょう。
多くの人は、「TO DO」リストとしてやるべきことを書き出し、締切の近いものから順に片づけている方が多いのではないでしょうか。
時間管理の一つ目のポイントは、このタスクも実行する日を決めてスケジュール帳などに記録することです。

アポイントとタスクは、どちらも自分の時間を使うという意味では同じものです。
ですから、アポイントが多い日にはタスクはあまり入りませんし、その逆もあります。
これを別々に計画してしまうと、それぞれの日に、どれだけの仕事量があるかが、はっきりわかりません。
すると、無理な計画を立てていても、気がつかないことがあるのです。
…(中略)…アポイントとタスクを1つにまとめておくんです。
ただし、アポイントは時間が決まっているので、時間の目盛りの上に書き、タスクはそれとは分けて書きます(日付ごとに書きます)。

(引用元:水口和彦『たったこれだけのことで!仕事力が3倍アップする時間活用法』実務教育出版)

こうすることにより、アポイントとタスクがスケジュール帳などのひとつの日付にまとまって記録されるため、この日の全体の作業量を把握しやすくなります。

スケジュールに空白の時間を作る

忙しいときは、ぎゅうぎゅうにスケジュールを入れがちですが、あえて計画的に空白の時間を作り、予定より仕事が遅れているときにその空白の時間で後れを吸収するようにします。
この空白の時間のことを「スラック」と呼びます。
このことにより、結果的に予定どおりに仕事が進み、効率的に仕事ができるという指摘があります。
たとえば、行動経済学の研究者であるムッライナタンとシャフィール(2017)は以下の例を挙げ、「スラック」の重要性を指摘しています。

ミズーリ州にある救急病院、セント・ジョンズ地域医療センターは、手術の問題を抱えていた。
32の手術室で年間3万件あまりの外科手術が行われていて、その予定を組むのが難しくなっている。
手術室はつねに予約でいっぱいなのだ。
2002年、この病院の手術室はフル回転だった。
そのため急患が出ると-そして急患は全仕事量の20%を占めるのが通例だ-病院はずっと前から予約していた手術を動かさざるをえない。
「その結果、病院スタッフは午前2時に手術を行い、医師は2時間の手術をするために数時間待つこともしばしばで、スタッフはしょっちゅう予定外の残業をしている」
…(中略)…たどり着いたのはかなり意外な解決策だった。手術室をひとつ使わずに空けておくというのだ。
…(中略)…ひとつの手術室を緊急手術専用にすると、病院が受け入れられる手術は5.1パーセント増えた。
午後3時以降に行われる手術の件数は45パーセント減少し、収入は増えた。
…(中略)…それから2年間、病院の手術件数は毎年7~11パーセント増加した。

(引用元:ムッライナタン,S., シャフィール,E.著、太田直子訳『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』早川書房)

これら2つの方法をお勧めする理由の一つは、私たちは自分の作業時間を「甘め」「楽観的」に見積もる癖があるためです。
これを「計画錯誤」と呼ぶそうです。
この「計画錯誤」については、以下の記事で詳しく取り上げています。

時間管理の方法は奥が深い

多少忙しくてもスケジュールどおりに仕事が進んでいると、焦ることもなく、今やるべき仕事に集中することができるかと思います。
私自身はというと、スケジュールに空白の時間を入れるのがなかなか難しいです。
どうしても予定を詰めてしまいます。
いずれにしても、時間管理の方法はとても奥が深いので、皆さんも色々工夫を続けてみてはいかがでしょうか。

【産業保健新聞に掲載された「時間管理」に関する記事】
「時間的プレッシャーに打ち勝つための方法」

【引用・参考資料】
・ 水口和彦『たったこれだけのことで!仕事力が3倍アップする時間活用法』実務教育出版
・ ムッライナタン,S., シャフィール,E.著、太田直子訳『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』早川書房

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中島 健太

中島 健太株式会社ドクタートラスト 臨床心理士・産業カウンセラー

投稿者プロフィール

約20年間事務職に従事した後、ドクタートラストに入社。主に官公庁でのストレスチェックの受託業務を担当しています。
ストレスチェックは2015年12月に開始された新しい制度ですが、働く方のメンタルヘルスの改善に大いに役立つ可能性を秘めていると感じています。
「産業保健新聞」では、心理学分野から皆さまのメンタルヘルスに役立つ話題や、ストレスチェックに関連した話題を多く取り上げたいと思います。
【保有資格】臨床心理士、産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】
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