組織で働く時、人はどのような行動をとるのか

こんにちは、産業カウンセラーの田野です。

さて、突然ですが皆さんは会社や組織で働く時にどういったことを意識して行動していますか?
そんなこと言われても……と戸惑われる方がほとんどではないでしょうか。
私もそうです。

当然ですが人は組織や集団に属すると一定の役割を担い、他の人との関係を維持していかなくてはなりません。
普段、意識していない一つひとつの行動にも、それぞれに特徴づけられることがあり、傾向というものがあります。
その中には「役割としての行動」「問題解決の行動」「人間の判断の偏った傾向」などのさまざまな要素が存在しますが、今日は「役割としての行動」について焦点を当ててみようと思います。

この「役割としての行動」の中には、大きく分けて「公的役割行動」と「非公的行動」の2つがあります。

公的役割行動とは?

まず、組織に属するということは、職務遂行に必要な役割を果たすことが期待され、その行動を公的(フォーマル)役割行動といいます。

例えば、組織のタテの関係性でいえば、「管理職」としての役割と、「部下」としての役割。
ヨコの関係性でいえば「営業担当」と「開発担当」のように担う職務ごとの役割があります。
それぞれが自身の役割をしっかりと果すことによって、組織が成り立っているのです。

管理職と一般社員(部下)の望ましい役割行動?

管理職者には実際どういったことが求められるのでしょうか?
京都大学の田尾教授はこのように述べられています。(一部抜粋)

■管理者に求められる役割
・業務目標、その達成手段等を明示し、その遂行と結果の評価を管理する。
・部下との良好な関係を形成し維持する。
・部下の個性、能力、キャリアを育成する。

参考:「管理職の役割変化とストレス」(京都大学教授 田尾 雅夫)

また、それに対してケリー教授(Kelley,R.,1992)は一般社員(部下)の望ましい役割行動としてこのように述べています。

■一般社員(部下)の望ましい役割
・上司の指示に従って目標達成に積極的に取り組む「貢献力」
・必要な場合はしっかりと発言する「批判力」

この2つをバランスよく発揮することが必要だと述べています。
また、これには、自らの責任を自覚して果たすこと、積極的に改善案を提案すること、業務に必要な知識や技能を自ら高めることなども含まれています。

参考:1992年著書『The Power of Followership(指導力革命―リーダーシップからフォロワーシップへ)』

非公的行動とは?

一方で、組織で働く人々は、人間である以上はその公的役割とは直接関係しない非公的(インフォーマル)な行動もしています。
上司や同僚と会食や遊びに出かけたり、世間話や冗談を言い合い、時にはプライベートな悩み相談をしたりと友人的な行動をとる時もあると思います。
これらの非公的行動は人間的な信頼関係に繋がるものであり、良好であることに越したことはないです。

しかし、公的・非公的の線引きは非常に難しいものであり、その境界線を大幅に超えることは組織の成型を壊してしまわないためにも自制しなければなりません。

次回は、組織で働く上の「問題解決の行動」にまつわる特徴についてお話してみようと思います。

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田野優人株式会社ドクタートラスト 産業カウンセラー

投稿者プロフィール

日本の働き方、メンタルヘルスのあり方に不信感を抱き、大学では社会学を専攻。卒業後、健康経営のコンサルタントの道を進むべくドクタートラストへ入社。今まで延べ500社以上の企業へ訪問し、産業保健体制の実態を目の当たりにしてきました。また、産業カウンセラーとしても日々、悩みを抱える方々との面談を行っています。
【保有資格】産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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