新しい環境で役に立つ「マインドセット」 

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0403am

4月は就職や異動で新しい職場でお仕事をする方も多いかと思います。
慣れない職場や環境でうまくいかないなあ、と感じることもあるのではないでしょうか。そんな時に試してもらいたい考え方があります。
それは「マインドセット」です。

マインドセットとは

マインドセットとは、スタンフォード大学のドゥエック教授が提唱した概念で、人間の知能や能力について、私たちは以下の2つの考え方(マインドセット)のどちらかを信じているとする考え方です。

1.硬直マインドセット(fixed mindset)
自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらない
2.しなやかマインドセット(growth mindset)
人間の基本的資質は努力しだいで伸ばすことができる

この考え方を活用するポイントは、科学的な事実として上記のどちらが正しいか、に目を向けるのではなく、私たちがどちらの考え方を信じているか、支持するかということにあります。
なぜならば、どちらの考えを持つかは、私たちの行動に大きな影響を与えるとドゥエック先生は指摘しているからです。
一例を紹介します。

硬直マインドセットV.S.しなやかマインドセットの例

香港大学ではすべてが英語で行われる。授業も英語、テキストも英語、試験も英語。入学してくる学生の中には英語が苦手な者もいるが早い時期に英語力アップをはかれば、大きなメリットになる。
新入生が初年度の手続きにきたとき、明らかに英語が苦手とわかる学生に、「英語力アップが必要な学生のための講座を設けたら受講しますか」と質問した。
同時に、その学生たちのマインドセットを判定した。次のような意見にどの程度賛成するかを尋ねたのだ。「知能の量は一定で、それを根本的に変える方法はあまりない」という意見に賛成する学生は硬直マインドセットの持ち主。それに対し、「知能はいつになってもかなり伸ばせる」という意見に賛成する学生は、しなやかマインドセットの持ち主と考える。
そのあとで、どの学生が英語講座を受講すると答えたかを調べた。その結果、しなやかマインドセットの学生は迷うことなく受講を希望したが、硬直マインドセットの学生は英語講座にあまり興味を示さなかったことが明らかになった。
(ドゥエック,2016,P26-27)

つまり、知能や能力を固定的に考える硬直マインドセットの人は、失敗や自分の弱いところを自覚したり晒されることを避けるあまり、新しいことに挑戦することを避けてしまう傾向があるのではないか、ということです。
これに対して、能力や知力は努力によって伸ばすことができると考えるしなやかマインドセットの人は、新しいことに挑戦して学ぶことを躊躇しないようです。
なぜなら、新しいことに挑戦して失敗したとしても、それはその人が「無能」だからではなく、「まだ」この能力を取得していないだけであり、引き続き努力すればよいと考えるからです。

○硬直マインドセット   → 失敗を避ける
○しなやかマインドセット → 課題に挑戦

もう少し掘り下げてみましょう。

マインドセットと行動パターン

ドゥエック先生の研究によれば、硬直マインドセットの人は能力に関して良い評価を得ることを求め、悪い評価を避ける(パフォーマンス目標)傾向があるようです。
そして、このような人は自分の能力に自信があるときは、難しい課題に積極的に挑戦するようになるけれども、自信がないときには、難しい課題を避けたり諦めやすくなる傾向があるようです。
さらに、よい評価を維持するために、難しい課題を避けたり、消極的になったりする傾向もあるようです。

一方、しなやかマインドセットの人は能力を高めることを目指す(ラーニング目標)傾向があるようです。
そして、このような人は自分の能力に自信があろうとなかろうと、難しい課題に積極的に挑戦する傾向があるようです。
さらに、難しい課題は自分の能力を広げる良い機会であるととらえる傾向すらあるようです。

新しい職場や環境での困難に対しての取り組み方

以上のことから、新しい職場や環境でうまくいかないなあ、と感じたときは、ぜひ、「この状況をどうしたら好転させられるのかなあ」「この状況から何が学べるのかなあ」などと考えてみることをお勧めします。
「そんな余裕なんてないよ!」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、もしかしたら、今のあなたの状況について、「困難な状況」から「チャレンジングな環境」へと、あなたの考えが変化するかも知れません。
ぜひ、試してみてください。

最後に、ドゥエック先生の講演をネットで見ることができます。
ご興味のある方は以下のページからぜひご覧ください。

【キャロル・ドウェック: 必ずできる!― 未来を信じる 「脳の力」】
https://headlines.yahoo.co.jp/ted?a=20170411-00002156-ted

【引用・参考資料】
Dweck, C.S.(1986) Motivational Processes Affecting Learning. American Psychologist, 41, 1040-1048.
ドゥエック,C.S. 今西 康子(訳)(2016) マインドセット 「やればできる!」の研究 P13,26-27 草思社
竹綱 誠一郎(1996) 第8章 動機づけ 大村 彰道(編)教育心理学Ⅰ-発達と学習指導の心理学 (P160-161) 東京大学出版会

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中島 健太

中島 健太株式会社ドクタートラスト 

投稿者プロフィール

臨床心理士・産業カウンセラー
身近な話題を分かりやすくお伝えしたいと思います。

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