生徒想いで熱心な先生ほど働き過ぎている?―教員の働き方改革―

皆さんが学生時代、学校の先生はどのようなイメージでしたか?
私自身の思い出を振り返ってみると、小学生の時は、夏休みに水泳の課外活動で指導してくれる担任の先生、中学生、高校生の時は、平日遅くまで部活動の指導をし、土日は試合や大会に引率する顧問の先生、また受験前や大学での研究・卒業論文では、夜遅くまで質問に付き合ってくれた先生…と、授業以外にも生徒・学生に対応しているイメージがありました。

教員=残業が多い?

一昔前や、もしかすると現在でも、プライベートな時間を割いて、生徒・学生のために尽くす姿が、教師の鑑とされているかもしれません。
しかし、このままで果たしていいのでしょうか?
そこで現在、部活動指導や学校行事等で多忙を極める教員を対象に、2019年現在、働き方改革の議論が進められています。

残業時間を原則月45時間以内に

文部科学省に設置されている中央教育審議会では、これまでにも「教員の働き方改革」に向けて議論が行われてきており、2019年1月25日に答申「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」が文部科学相に提出されました。
本答申は、文部科学省から同日付で公表された「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」の順守が主な柱となっています。

公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン

本ガイドラインでは、原則の目安時間を以下のように定めています。

  • 1ヶ月の在校等時間から条例等で定められた勤務時間を引いた時間(以下、残業時間)が、45時間を超えないようにすること。
  • 1年間の残業時間が、360時間を超えないようにすること。
  • 特別の事情があったとしても1年間の残業時間が、720時間を超えないようにすること。

本答申を踏まえて、教員をしている知人たちに話を聞いてみたところ、「仕事が減るわけでないので、現実的に難しい」、「残業時間が制限されれば、その分自宅に持ち帰っての仕事になる」、「夏休みや冬休みなど長期休暇にたまった仕事をする」とのことで、教員の働き方改革を進めていくうえでは、教員自身の意識改革も必要だという印象を受けました。

勤務時間の定義も必要

今後、教員の働き方改革を実現するために、議論すべき課題はいくつもあります。
たとえば、時間外の部活動指導や授業準備は、現状として自発的な勤務とみなされ、勤務時間として勤務時間報告・勤怠管理されていないケースもあるので、勤務時間の定義・タイムカードなどによる把握が必要でしょう。

<参考資料>
文部科学省「学校における働き方改革について」

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