産業医に外部コンサルタントの視点を

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事業場の従業員が50名を超えると産業医を選任しなければならないことは周知のとおりですが、近年では30名程度であっても産業医の導入を検討されている企業が増えてきました。
この流れにはどのような背景があるのでしょうか?
私自身の主観も交えつつ、考えてみます。

はじまりは工場医

そもそも産業医とは、労働基準法の前身である工場法によって定められた「工場医」が先駆け的存在だとされています。
工場法とは、特定の工場に限られて適用され、児童・女子の保護を主な目的としたものであり、工場医は工場内にて勤務し、診療を行うことを業務としていました。
その後、労働安全衛生法が施行され、1972年には産業医の選任が義務化、2006年には産業医の要件と、事業者への勧告権が法令に盛り込まれました。

このような変遷を経て、専門性が高く、幅広い対応が迫られる、現在の産業医が確立しました。

法定要件を満たすだけでは、もはや不十分

現在の産業医の主な役割は、メンタル不調者の面談対応や復職の判断、衛生委員会への参加など、法的な側面や、必要に迫られての対応が多いように感じられます。
これらの業務がおざなりになってはいけないのはもちろんのことですが、そもそも労働者の健康障害を予防することが「産業保健・産業医」の目的であると考えると、果たしてこのままでよいのか、疑問符が付きます。

もっとも、これは産業医の力不足や怠慢ではなく、本来は、不調者等が発生しないような組織づくりを企業が主体的に取り組むべきところ、産業保健分野は後回しにされがちで「義務となっているから」との理由で産業医を導入する企業が多いことが原因だといえるのではないでしょうか。
そしてそのような企業では「予防」にパワーが回らず、毎月のルーチンを淡々とこなし、問題が生じた際のみ面談を行うことに終始してしまうのです。

客観的な視点から判断できる外部コンサルタント

さて、ここまでが現在の産業医に多く求められているであろう内容です。
ようやく冒頭の話に戻りますが、最近では選任義務に満たない規模でも産業医を必要としている企業が増えています。

この背景については、メンタル・フィジカル面の対応というケースもありますが、将来的な成長に備え、早い段階から従業員の健康管理を行い、生産性を上げようという健康経営の考え方にほかなりません。

つまり、本来産業医を導入する目的であった予防という観点に加え、企業が成長するために必要な健康施策をアドバイスするコンサルタントのような立場が求められているといえるでしょう。

2019年4月に施行される働き方改革推進法では、産業保健機能の強化も謳われており、産業医そのもののあり方が問われる時代に突入します。
また、産業保健機能だけでなく、健康経営全般について焦点があてられることとなるでしょう。

これらを鑑みると、これからの産業医は健康経営に敏感で、自ら主体的に発信ができることが求められていくと考えられます。

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長谷川 隼人

長谷川 隼人株式会社ドクタートラスト 産業保健部

投稿者プロフィール

産業保健分野に関する情報を素早く正確にお伝えできるよう、頑張ります。

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