下限人数、すごく重要です~ストレスチェック集団分析~

ストレスチェック受検後のお話

新年を迎えたばかりだと思っていたのに、気がつけば1月も下旬に差し掛かっていますね。
私は2018年4月にドクタートラストに入社し、まもなく丸1年を迎えます。
この間、ストレスチェックサービスを提供する部署に所属し、実施事務従事者として、多くの企業や官公庁のストレスチェックに携わらせていただきました。
企業や官公庁によって取り組み方はさまざまですが、この1年で私が強く感じたこと、「ストレスチェックにおける下限人数の重要さ」を今回はお話させていただきます。

ストレスチェックを受検された方のなかには「受検をする→診断結果を見る→完了!」だと認識されている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし重要なのは、「受検後」です。
ストレスチェックの目的の1つである「セルフチェック、セルフケア」がここでなされます。

また、ストレスチェックサービスを提供する当社では、ストレスチェック実施後、「集団分析」を作成します。
集団分析は努力義務とされていますが、職場側が状況の把握・職場改善を行う上で、必要不可欠なツールだと私は思っています。

集団分析について知っておいてほしいこと

そんな集団分析、職場側としては、「せっかくストレスチェックをしたからには全集団(主に部署単位)の結果が見たい!」と思いますよね。
しかし、この集団分析には以下のような定めが置かれています。

集団ごとの集計・分析結果は、個人ごとの結果を特定できないため、労働者の同意を取らなくても、実施者から事業者に提供して差し支えありません。
ただし、集計・分析の単位が 10 人を下回る場合には個人が特定されるおそれがあることから、原則として、集計・分析の対象となる労働者全員の同意がない限り、集計・分析結果を事業者に提供してはいけません。
出所:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」

ストレスチェックは個人の機微な情報であり、プライバシーを守らなければなりません。
そのため、集団分析は原則10人以上で行わなければならないのです。

重要なのは「実施前」の準備

では、10人未満の集団は絶対に出してはいけないのでしょうか。
実施マニュアルにもあるとおり、あくまで10人は「原則」です。

以下の手順をきちんと踏んでいただければ、10人未満の集団でも分析することが可能です。

1. ストレスチェック実施前に衛生委員会等で産業医と「下限人数」を取り決める
2. ストレスチェック実施前に受検対象者へ周知をする

ただし注意していただきたいことが2点あります。

① 下限人数は実施前に決める

前述のとおり、10人を下回る場合は個人の同意が必要となり、これがないと集団分析結果を出すことはできません。

② 下限人数は「受検者数」で考えられる

うちの部署は10人以上だから下限人数を決めなくても大丈夫!

そう考えられる企業、とても多いです。
しかし、集団分析における人数の計算は「受検者」であるため、対象受検者数が11人、12人などの集団がある場合、絶対に大丈夫とは言い切れません。
仮に11人で構成されている部署であっても、2人が未受検だったとしたら、受検者数は9人になりますよね。
私個人の意見ですが、10人を超えていたとしても、受検者数が10人未満になるかも…と少しでも感じたら、念のために事前に下限人数をお決めいただくことをおすすめいたします。

おわりに

ストレスチェック制度も2019年で4年目を迎えます。
今回は集団分析の下限人数について、改めて考えていただきたいと思い、記事にしました。
ストレスチェック制度はまだまだ難しいことが多く、私も勉強することばかりです。

実施者側、受検者側関係なく、ストレスチェック制度について少しでも理解をしていただき、やるからには意義のあるものにしていただきたいと思います。

<参考>
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」

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