冬こそ血栓症に気を付けたい

みなさま、年の始まりは気持ちよく過ごせましたか。
この時期に実は怖い病気が潜んでいます。
それは血栓症です。
血栓症は、心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓症などが代表的な疾患です。
冬は感染症だけでなく、血栓症についても理解し、意識して生活するようにしましょう。

なぜ寒い季節に注意しなければならないのか?

国立循環器病研究センターによると、冬(12月~2月)にかけて心筋梗塞が一因とされる心肺停止の発症率が高くなるとのこと。
冬は外と室内の寒暖差が大きいことで血圧の変動が生じ、心臓に負荷がかかります。
また、朝起きた時に血圧が上がりやすくなる(モーニングサーチ)ため、冬の季節、また朝から午前中にかけ、心筋梗塞や脳卒中などの脳血管疾患を発症する可能性が高まります。

血栓とは

血管内の血液が何かの原因によって固まってしまう=小さな血の塊が血栓

その血栓が流れ、心臓や脳、肺など循環によって運ばれて塞いでしまうと循環を阻害し、障害や最悪の場合は死に至ります。

~血栓症を引き起こしやすい方~

・生活習慣病を患っている、また疑いのある方
高血圧や高血糖、脂質異常などの生活習慣病がある方は動脈硬化を引き起こしやすいです。

・病気に関係なく起きる場合も
同じ姿勢のまま動かなかない状態が多い、水分摂取できていない(水分不足)状態の場合、血栓症を引き起こす可能性があります。
EX:エコノミー症候群(急性肺塞栓症)

予防・対処方法

~日常生活での心掛け~

・ 朝はコップ一杯の水を補給する
・ 外へ出るときはマフラーや帽子など防寒し、外と室内の温度差を小さくする
・ 入浴時:脱衣所と浴室は温かくする(暖房の活用や湯を張った浴槽のふたを開けておくと浴室が温まるので効果的)。お風呂の温度は熱すぎず38~40程度に設定

~日頃の健康管理編~

・ 運動を行う
ジムに通うことも良いですが、階段を利用することや早歩きで散歩することなど、継続できる運動をお勧めします。

・ 健康的な食事の管理
健康的な食事が、体重や血圧値、血糖値、コレステロール値を改善させ血栓症につながる動脈硬化を予防します。低カロリーだけを意識するのではなく、必要な栄養素はしっかりととることが大切です。

・ 血圧の管理
高血圧の方は特に家庭用血圧計を入手して、朝と夜寝る前に血圧を測ってみましょう。食事での塩分のコントロールや、服薬管理を行いましょう。

・ 標準体重の維持
肥満は心臓に負荷を与え、動脈硬化を招くことや、血圧が高くなる要因になりますので、肥満予防は多くの疾患を防げます。

・ たばこを吸わない

~オフィスでの対策~

・ 身体をこまめに動かす
身体を動かさず作業する業務を続けていると、血流が滞り血栓が起きやすいですので、ストレッチをお勧めします。
下記リンク先はオフィスで実施できるストレッチご紹介しています

参考リンク先:厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」
・ 水分摂取
冬は特に乾燥しやすく、暖房の利用によってさらに乾燥し脱水状態になりやすいので、こまめな水分摂取を心掛けてください。

・ 弾性ストッキングの利用
血流が滞ることも原因となりますので、血栓症対策だけでなく、むくみ防止としても利用してみてはいかがでしょうか?

今回は、血栓症についてご紹介しました。
会社のリスクマネジメントとして、季節ごとに起きやすい疾患を把握していただき、個々の健康管理以外にも緊急時の対応についても改めて周知徹底していただければと思います。

<関連記事>
・ 「脳卒中を疑ったら『ACT FAST』」(産業保健新聞)
・ 「できますか?救急時の対応~日頃から備えましょう~」(産業保健新聞)

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金城志織株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

総合病院で看護師を経験したうえで、大学時代より興味のあった予防医学の分野で活動したく、現在は産業保健師として働いています。幸福は健康から! そのために働きながら皆さん自身が健康に取り組める、また過ごせるような情報をお伝えしていきたいと思います。
【保有資格】看護師、保健師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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