待ったなし! 年5日間の有給休暇が義務に

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年5日間の有給休暇取得が義務に

2018年6月の通常国会で成立した「働き方関連法案」については産業保健新聞でも度々取り上げていますが、今回は、私たちに身近な有給休暇の制度変更を取り上げたいと思います。

労働基準法39条の改正により、2019年4月からすべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが必要となりました。

第三十九条第六項の次に次の二項を加える。
使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。ただし、第一項から第三項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。
前項の規定にかかわらず、第五項又は第六項の規定により第一項から第三項までの規定による有給休暇を与えた場合においては、当該与えた有給休暇の日数(当該日数が五日を超える場合には、五日とする。)分については、時季を定めることにより与えることを要しない。
出所:法律第七十一号(平三〇・七・六)働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律 (労働基準法の一部改正)

なお、違反した場合は罰則が科されることになります(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金/労働基準法119条)。
ここでのポイントは以下のとおりです。

① 開始時期 :2019年4月
② 対象企業 :すべての企業等
③ 対象労働者:年10日以上の年次有給休暇(以下、有給休暇)が付与される労働者
④ 指定休暇数:年5日

順に見ていきましょう!

① 開始時期

2019年4月から実施となります。
2018年12月時点ですでに半年を切っていますので、各企業等の担当者の方々は早めの準備をお勧めします。

② 対象企業

すべての企業等が対象になります。中小企業等への猶予はありません。

③ 対象労働者

年10日以上の有給休暇が付与される労働者です。
労働基準法では「半年間継続して雇われている」+「全労働日の8割以上を出勤している」労働者に【表1】の日数を付与することが定められています。
また、アルバイト・パートなど短時間勤務の労働者に対する付与日数は【表2】のとおりです。

【表1】
表1

【表2】
表2
資料出所:厚生労働省「平成29年度『仕事と生活の調和』の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査」

ここでのポイントは、「年10日以上の有給休暇」が付与されている労働者が対象となるということです。
パート・アルバイトなど短時間勤務の労働者の場合は、フルタイムの労働者とは異なり、勤務日数によって有給休暇が年10日以上付与される年数が異なります。
例えば週の所定労働日数が4日の労働者の場合、有給休暇が10日以上付与されるのは勤続3.5年以上となります。
同様に、週の所定労働日数が3日の労働者の場合は、勤続5.5年以上となります。
この点には注意が必要です。

④ 指定休暇数

年5日が対象となります。
この5日は、労働者の希望する日を使用者が事前に聞いた上で、使用者が具体的な日付を指定します。

ただし、労働者が自ら申し出て取得した日数や、労使協定で取得時季を定めて与えた日数(計画的付与)については、この5日から差し引くことができます。

【例】
・ 労働者が自ら5日取得した場合 ⇒ この5日を指定する必要はありません
・ 労働者が自ら2日取得した場合 ⇒ 使用者は3日を時季指定する必要あり
・ 計画的付与で3日取得した場合 ⇒ 使用者は2日を時季指定する必要あり

改正の背景

これは、労働者である私たちにより有給休暇を取得してほしいと政府は考えているからです。
また、企業にもメリットがあると政府は考えています。
厚生労働省「年次有給休暇取得促進特設サイト」によると、有給休暇をより多く取得することは労働者の健康と生活に役立つだけでなく、労働者の心身の疲労の回復、生産性の向上など会社にとっても大きなメリットがある、とされています。

2016年における有給休暇の取得率は49.4%であり、5割を下回っています。
この取得率の低さの原因は、有給休暇の取得に私たちがためらいを感じていることが挙げられます。

下の図は、政府が行った「『仕事と生活の調和』の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査」での回答です。
これによると、有給休暇の取得に対してためらいを感じる人は「感じる」「やや感じる」を合わせると60%を超える結果となりました。
また、その理由は「みんなに迷惑がかかると感じるから」が最多で73.3%となり、次いで、「後で多忙になるから」(47.5%)、「職場の雰囲気で取得しづらいから」(28.2%)などが続いていました。

表3
資料出所:厚生労働省「平成29年度『仕事と生活の調和』の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査」

計画的付与制度

計画的付与制度とは、有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの日数については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度で、この制度を導入している企業は、導入していない企業よりも有給休暇の平均取得数が8.5ポイント(平成28年)高くなっているそうです。
なお、この計画的付与制度により取得した有給休暇数は、上記の有給休暇における使用者による年5日の指定日数から差し引くことができます。

上手に活用するために

今回の改正を働く私たちが上手に活用するにはどのようにしたらよいのでしょうか。
まず、個人レベルでは、以下の対応が必要だと考えられます。

① 今の業務の繁忙期・閑散期を見極めること。分からない場合は同じ職場の先輩に聞くこと
② 早めに上司などと相談して指定を受ける日を確定させること
③ 指定日が決まったら、その日の前後に仕事がたまらないように早めに対応すること

職場・企業等のレベルでは、できる限り1年間単位で従業員から予定を聞き、必要とする人数を確保できるよう計画・調整することが重要だと考えられます。
そのときに、従業員の疲労回復とリフレッシュを推奨する立場から、連続での有給休暇取得を目標にするのもよいと思います。

連続での有給休暇を取得しやすくなれば、海外旅行好きの方には朗報ですね。
ぜひ、仕事も休暇も楽しみたいものです。

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中島 健太

中島 健太株式会社ドクタートラスト 

投稿者プロフィール

臨床心理士・産業カウンセラー
身近な話題を分かりやすくお伝えしたいと思います。

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