え?まだ産業医名義貸し?

私は、営業としてさまざまな企業さまへ赴き、健康管理体制や社内の状況などを伺っています。
企業さまで伺うお話のなかにはびっくりするようなものから、ぜひ皆さまに共有したい興味深いお話までいろいろあります。
今回皆さまにお伝えしたいのは、「まだ産業医の名義貸し契約をしているの?」というお話です。

名義貸し契約とは

皆さまの会社は、産業医と契約していますか?
産業医の先生とは契約しているが、事業場への訪問はなく、名ばかりとなっている状況ではありませんか?
そうした契約は、訪問がなくとも労基署への報告書への名義記載は行えることから、通称名義貸しといわれています。
この名義貸しですが、産業医の職務として法令で求められている職場巡視・衛生委員会への参加を行えないことから、立派な法令違反となります。

リスクしかない名義貸し

かつては、契約料金の安さもあって名義貸しが横行していたこともあったようです。
しかし、平成18年の過重労働面談義務化、平成26年のストレスチェック義務化を経て、名義貸しでは対応できなくなってきました。

特に企業の健康管理のなかで、メンタルヘルス対策が重要となっている昨今です。
「メンタル不調者は絶対出ない」と言い切れるところはないでしょう。

メンタル不調者が発生し、労災を含めた訴訟に発展した場合、企業の日頃からの健康管理の状況が、大きな判定材料となります。
もし、その時「産業医が訪問していない」としたら、安全配慮義務違反が問われることは間違いありません。
そもそも法令違反の状況でありますので、安衛法の罰則の適用や、違反事案の公表を受ける可能性も大いにあります。
罰金、企業イメージの低下という実際の不利益も生じかねません。

まだまだある名義貸し

現在、どれくらいの名義貸し契約があるのでしょうか?
ひとつの目安としては、厚生労働省が行った平成28年労働安全衛生調査における「産業医(非常勤)の事業所への訪問回数階級別事業所割合」の結果があげられます。
この調査の中で、従業員数50~99人の事業場での実に20.7%が「産業医は来ていない」との回答を行っています。

弊社にお問合せいただいた企業さまのなかでも、「料金が安かったので、先生の訪問はないけど、他で契約したよ」とお話いただくケースはまだまだございます。
ただ、目先の費用を削減することで抱えるリスクは、上記の通り、非常に大きなものとなります。
せっかく費用をかけるのであれば法律上の問題もクリアにし、さらには従業員の方の健康管理をしっかりとサポートしてくれる先生を確保することが、働き方改革が進む今、正しい選択ではないでしょうか。

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