台風シーズン、出退勤の取扱いは?

平均すると例年25個前後の台風が発生しますが、今年はすでに23個の台風が発生しています(2018年9月11日時点)。
台風の接近・上陸に伴い、会社から自宅待機や繰り上げ退社の指示が出る場合もありますし、特に指示がない場合は勤務に遅刻しないよう早めに家を出たり、宿泊施設を手配したりと出勤について頭を悩ませる方は多いかと思います。
では、台風などの自然災害時の出退勤の取扱いについて公的なガイドラインはあるのでしょうか。

法的な定めはなく、企業判断

気象警報が出ている場合でも、特に法令などで出勤の可否を定めるものはありません。
あくまで、自宅待機や出社時間の調整の判断は企業に委ねられているということです。

ただ企業には、従業員に対する安全配慮義務があるため、通勤や業務に危険が伴うと考えられる場合には、適宜休業指示などが必要といえるでしょう。
就業規則内での定めがあるとより対応がしやすいかもしれません。

賃金の支払い義務は?

雇用者と労働者間には「ノーワーク・ノーペイ」の原則があるため、自然災害など不可抗力の理由により自宅待機の指示が出たり、また本人の任意の判断により労働者が労務の提供を行わない場合には、使用者が賃金を支払う義務は発生しないこととなります。

台風の中、出勤して怪我をした……労災になる?

自然災害は出勤中かどうかに関わらず影響を被るものであるため、仕事中に自然災害によるけがをしても業務災害とは認められないのが一般的です。(昭49.10.25基収第2950号)

ですが、業務の性質や職場条件によって、自然災害による被害を受けやすい環境であると労働基準監督署が判断した場合には、業務上の災害であると認められる場合もあります。
台風など事前にある程度の予想ができる自然災害については企業側に業務起因性を問われかねませんので、注意が必要です。

一般的に9月といえば台風の季節。
社内の対応について今一度整理してみるのもいいかもしれません。

<参考>
・ 台風の発生数(気象庁)

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白石 早希株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

新卒で航空会社地上職員として勤務。同僚の休職や配置転換などを目にする中で、心身のケアの必要性を実感。結婚後、家族がうつ病を発症したこともあり、「健康に働く人を増やす」というドクタートラストの理念に心から共感。また、1児の子育て中のため、時短勤務が可能なことが決め手となり入社。ワークライフバランスや持続可能性への関心が高い。
働く皆様のお役に立てるような記事作成に努めてまいります。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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