災害時のストレス反応

大阪府北部地震、および西日本豪雨により、亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

ストレス反応は正常な反応

日常的に経験する範囲を超えた危機的かつ衝撃的な出来事を体験したり、目の当たりにしたりすることで、心身にさまざまな影響が出ることがあります。
これを「ストレス反応」といいます。

ストレス反応とは

ストレス反応は、抱えきれない出来事を乗り越えようとする自然で正常な反応です。
また、同じ出来事に遭遇しても、人によって「ストレス反応」の出方が異なります。

ストレス反応の種類

ストレス反応の自然回復の過程は、1. 正常ストレス反応、2. 急性ストレス反応 3. 急性ストレス障害があります。
さらに1か月以上継続する場合は、4. 心的外傷後ストレス障害(PTSD)といい、専門的な治療が必要です。

1. 正常ストレス反応

気分の落ち込み、無気力感、不安感、イライラ、不眠など、多くの人が経験する 一時的な正常なストレス反応です。
災害の回復と時間の経過により自然に回復していきます。

2. 急性ストレス反応 (2~3日で消失する)

自分自身が生死に関わるような被災状況を体験や目撃をして、大きなストレスを受けた場合には、体験直後からフラッシュバック、過覚醒などの症状が出現することがあります。

3. 急性ストレス障害(ASD)

急性ストレス反応は症状が2~3日で消失しますが、症状が持続し、 1か月以内の期間に認められた場合、急性ストレス障害(ASD)と呼びます。
症状の消失を観察することで、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の早期発見、早期治療につながります。

4. 心的外傷後ストレス障害(PTSD)

急性ストレス障害の症状が1か月以上続く場合を、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と呼びます。
半年以上経ってから現れる場合もあります。
PTSDは専門家による治療が必要です。

効果的に対処するには

災害に遭ったとき、ご自身の中に変化が起こるのは、ごくごく自然なことです。
このとき、重要になってくるのは「ストレス反応への対処」です。
混乱のなかにいるため、「今、自分にはストレス反応が生じている」と自覚することは難しいと思いますが、下記6点については心の片隅にとどめておいていただけると役に立つことと思います。

1. 災害時にストレス反応が生じるのは正常な反応であることを理解する。
2. 心配事・不安感は一人で抱えず誰かと話す
3. 自分を責めずに、自分自身の健康と回復を
4. 食事・睡眠・休養を十分にとり規則正しい生活を心がける
5. 過度の飲酒や市販薬に頼りすぎない
6. 一人で悩まず専門家に相談する

専門家に相談したほうがいいとき

また、状況が改善されない場合、あるいは生活に支障をきたしかねないときは、専門家に相談するという選択肢も持っておきましょう。

1. 1か月経っても、落ち込みや緊張・混乱・空虚さを感じている
2. 1か月経っても、脱力感・疲労感など身体的な症状が続いている
3. 悪夢を頻繁にみる、眠れない日が続く
4. 気持ちを打ち明けたいのに相手がいない、人間関係に支障がでている
5. 酒、たばこ、薬の量が増えたままである
6. 仕事に支障が出ている

周囲の人ができるサポートとして、被災者を一人にさせず、寄り添い受け止める気持ちで支えていくことが大切です。
そして、「正常なストレス反応」と「心のケアが必要となる状態」を理解して、適切な対応をしていきましょう。

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