侮ることができない「転倒災害」

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毎月、速報値として発表されている「労災発生状況速報値」の平成30年度5月発表分が、厚生労働省ホームページで公表されました。
オリンピック開催に向けた建設ラッシュやインフラの整備など、建設業では工事件数の増加に伴い転落事故、同じく人手不足で昨今取り沙汰される運輸系企業でも交通事故など、大きな事故がニュースとして取り上げられています。
労働災害の発生件数は全体を見ると極端な増加はしておりません。
しかし、前年対比でそうした労働災害の6倍もの増加率となっているものがあります。
それが、転倒災害です。

近年、休業4日以上の労働災害の中で最も発生件数が多く、この度の厚生労働省発表でも前年対比で25%近い増加が続いています。
近年増加傾向にある転倒災害は、労働者の高年齢化なども原因の一つとされていますが、転倒後に2次的な怪我につながるケースも多く、厚生労働省としても2015年から「STOP!転倒災害プロジェクト」を提唱し、事業場での対応の徹底を呼び掛けています。

「STOP!転倒災害プロジェクト」とは

2015年から厚生労働省と労働災害防止団体で行っているプロジェクトです。
最も発生件数が多く、増加傾向の続く転倒災害を撲滅するため、事業場での転倒災害防止対策を進めるよう促すもので、2月・6月を重点取組期間として「STOP!転倒災害プロジェクト」を呼び掛けています。
労働基準監督署使用のチェックリストを活用した事業場の総点検を行ったり、安全衛生委員会などで調査審議を行うなど、職場環境改善に繋げる様、事業主へ呼びかけを行っています。

参考:「転倒災害防止のためのチェックシート(PDF)」(厚生労働省)

転倒災害の主な特徴

転倒災害の特長についてまとめると、以下の通りとなります。

① 休業4日以上の労働災害の種別発生件数では、近年最も発生率が高い。
② 労働者の高年齢化が進んだ結果、転倒災害の発生リスクが大きく増加している。
統計では55歳未満に比べ55歳以上の発生リスクは約3倍。
③ 転倒災害後の休業期間の実に6割ほどが1カ月以上。

転倒と聞くと、大きな事故では無いように感じますが、実は発生件数だけでなく、休業時間も長い大きな災害であることがわかります。

転倒災害発生の主な要因

転倒災害は以下の状況により発生することが多くなっています。
一度オフィス内を見直されることをお勧めいたします。

・ 床の材質、汚れ(水や油、粉など)、ビニールや紙などの踏むと滑りやすい異物が床に落ちている
・ 床の段差や荷物などの放置によるつまづき
・ 大きな荷物などを抱え、足元を確認できない状態での移動や作業による階段や段差などの踏み外し

転倒災害防止の対策ポイント

主だった要因としては、前述したように日常的な注意やちょっとした工夫で未然に防ぐことのできるものばかり。

まずはコストをかけず、取り組むことのできる対策や意識付けを行ないっていきましょう。

たとえば……

・ 整理整頓を心掛け同線となる場所に物品を放置しない。
・ 床面を清潔に保ち、汚れを取り除く。
・ 時間にゆとりをもって作業にあたる。
・ 滑りやすい場所では歩幅を狭めたり、足元の見えない状態では作業を行わないようにする。
・ 転倒災害の起こり得る場所に掲示を行い注意喚起を行う。

など、今すぐ大きなコストをかけることなく取り組むことのできる対策がたくさんあり、たったそれだけでも、実際に転倒災害の発生件数が劇的に減少した事業場もあります。
転倒災害対策をきっかけに、職場環境改善への取り組みをスタートしてみたり、安全教育を始めることで、目に見えて効果を実感しやすいこともあり、事業場での安全衛生管理への意識改革にも効果が出ている企業様もあるようです。

また、転倒をしたことが原因で、休業期間の長い労働災害に発展してしまうケースも少なくないことからも、転倒災害が原因となり労働基準監督署の臨検を受けることとなり、企業にとっても業務に対する影響やイメージダウン、離職理由の一因ともなり得るため採用費や人件費などをコスト上昇など、多大な悪影響を招く可能性もあります。

転倒災害を「たかが転倒」と侮らず、まずは取り組むことのできる小さなことからでも事業場で対策を始めてみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 「転倒災害防止対策」(厚生労働省)

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唐澤 崇

唐澤 崇株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

皆様と同じ働く者としての目線で、事業者・従業員どちらにとっても気付きとなるような情報をお届けできるよう発信させて頂きます。

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