できますか? 救急時の対応~日頃から備えましょう~

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仕事中に同僚の意識が突然なくなった……。
外勤中に事故に巻き込まれた……。
通勤中に人が倒れて……。
街中でそのような場面に遭遇したことが私はあります。
突然の出来事に焦りや驚きを感じてしまうのが人間です。
このような場面に遭遇した時、あなたならどうしますか?

救急対応時の基本を一緒に振り返ってみましょう。

心臓停止から3分間が重要!

心臓が停止してから、1分経つごとに救命率は約10%ずつ低下していきます。
3分後には、救命できた場合でも、脳へ影響が出てしまう可能性が高くなります。
現在、119番通報後、救急車の現場到着まで、全国平均8.5分とされています。(総務省消防庁「平成29年版 救急救助の現況」より)
その8.5分間の間に、迅速な応急処置をとることで、救命率が上がります。

また、このような救急を要する場では、周囲に人が集まるとともに、戸惑いや焦りからとても大混乱が起こりやすくなります。
みんなが同じ行動をとってしまっても、一刻を争う場では時間のロスになってしまいます。
発見者もしくは応急処置の実施者が、周囲へ指示を出し(救急者の要請連絡・誘導・AED準備・記録・処置実施交代など)役割配分を行うことが望まれます。
混乱が起こりやすい場であるからこそ、それぞれが行おうとすることや行っていること(「私、AEDもって来ます」「私が救急に連絡しています」など)を声に出し、周囲へ伝えることも重要です。

やってみましょう、一次救命処置(BLS:Basic Life Support)

一次救命処置とは、心肺停止状態にある人やそれに近い状態にある人を発見した場合、救急隊などの医療スタッフの到着までの間に行う応急処置のことです。
「医療資格を持っていないから」「何をしていいか良くわからなくて怖い」という意識があるかもしれませんが、資格がなくてもできることはありますし、逆に資格がないとできないというわけでもありません。
ですが、効果的な処置を行わなければ意味がありませんので、適切な対応をするために、知識を得ておくことは大切です。

対象者を発見したら

① 周囲の安全確認(危険な環境にある場合、応急者自身が二次災害に遭うこともあります)
② 対象者の確認(意識はあるか/声掛けに反応はしているか/呼吸はしているか/脈は触れるか)
③ 周囲へ応援を呼ぶ(対応者のあなたが中心となり指示を出して、依頼内容を伝えましょう)
④ 119番へ救急要請(救急であること/場所/何が起きてるか/名前と連絡先)
⑤ 必要に応じてAED(自動体外式除細動器)など準備できる物品依頼

【ポイント】

  •  すべてを1人で行う必要はありません。必ず応援を呼び、依頼できることは依頼しましょう。
  •  救急時、対象者の状態は変わりやすいので、発見者もしくは応急処置の実施者は、基本的にその場を離れないことが重要です。
  •  処置に一生懸命になり、記録をとることを忘れてしまいがちです。救急隊へや医療機関へ引き継ぎをする時に、とても大切になってきます。実施した行為や時間、状況を分かる範囲で記録をとるようにしましょう。(周囲の方に依頼することがベストです)

意識がない/呼吸をしていない/拍が触れないとわかったら

※ 「意識がない」、「脈なしであるが呼吸の確認が難しい」場合、まずは胸骨圧迫を行います

⑥ 胸骨圧迫:30回を1セット(1分間に100回のペースのテンポ)
⑦ 気道確保
⑧ 人工呼吸:2回(相手の鼻を摘み、息を吹き込んだ際に、胸部が上がるのが見てわかる程度の量)

対象者の状態を確認しながら、(胸骨圧迫)30:(人工呼吸)2で繰り返し行っていきます。
※ 一般市民の方へのガイドラインとして、人工呼吸は訓練を受けた者、または行う意思がある者となっています。困難な場合は、胸骨圧迫のみ実施します。

⑨ AEDが到着したら、操作ガイダンスに従って操作します。(心電図の解析中やショック時は、対象者の身体に触れてはいけません)

【ポイント】

  •  何をして良いかわからなくなっても、119番の救急通報と共に、指令センターから指示を仰ぐことができます。通報後、一方的に電話は切らないようにしましょう。
  •  正しく胸骨圧迫を行い続けることは、とても体力がいるものです。テンポがとても遅く、力がなくなった状態で、継続をしても、効果的とはいえません。疲れてきたら、必ず周囲の人と交代をしましょう。

CABの時代へ

CABって何? と思われるでしょう。
下記に記載している、それぞれの頭文字をとった表し方になります。

① Circulation(胸骨圧迫<心臓マッサージ>)
② Airway(気道確保)
③ Breathing(人工呼吸)
上記を見ていて、「あれ? 人工呼吸が先じゃないの?」と思った方がいるかもしれません。
確かに、救急蘇生法が提唱され長きに渡り、「A:気道確保」→「B:人工呼吸」→「C:胸骨圧迫」の順番で教育がなされていました。
しかし、2015年度のガイドラインの変更により、呼吸状態の判断や気道確保の難しさから、心臓停止の場合、胸骨圧迫を優先して行うことが効果的とされ、手順が「C:胸骨圧迫」→「A:気道確保」→「B:人工呼吸」へと変更になりました。

研修に参加してみましょう

会社にお勤めの場合、労働衛生安全法で、職場の救急に関する規定あるため、すでにさまざまな研修に参加している方がいらっしゃるかもしれません。
普段から知識として兼ね備えていることで、実際に必要となった際の心構えとして、少し意識が変わってくるかと思います。
これらから春も近づき、年間計画を立てるなかに、ぜひ職場で救命措置の実施講習を企画してはいかがでしょうか。
また、個人でも参加できる講習は多岐にわたり開催されているので、お問い合わせのうえ、参加されてみるのも良いかと思います。
こちらは一例にはなりますが、消防署、日本赤十字社、日本医師会、日本ACLS、日本蘇生協議会、日本心臓財団などで講習会が行われています。
あなたの勇気が大切な命を救うきっかけに繋がるかもしれません。

<参考>
・ 総務省消防庁「平成29年版 救急救助の現況
・ 日本蘇生協議会「JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版」
・ 日本救急医学会「市民のための心肺蘇生」

 

有川 紫乃

有川 紫乃株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

これまでの医療経験を生かして、皆様のお役に立てる情報を発信していきたいと思います!

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