ついに導入される 保険料率インセンティブ制度

つい先日、全国健康保険協会(協会けんぽ)が行う保険料率インセンティブ制度の内容が決定したとの報道発表がありました。
約80億円の財源を確保し、保険料率に差をつけることになります。
協会けんぽといえば、現在全国で約200万事業場、被保険者数約2,000万人。
日本の総人口が約1億2,700万人ですから、国民の15%が関係している巨大組織です。
経済にあたえる影響も決して小さいものではありません。

保険料率インセンティブ制度とは

協会けんぽから発表されたインセンティブ制度とは、次のような制度です。
特定健診等の受診率、特定保健指導の実施率、特定保健指導対象者の減少率、受信勧奨を受けた要治療者の受診率、ジェネリック医薬品の使用率の5つを指標とし、前年度からの増加率、増加件数も加味したうえで都道府県ごとに評価し、確保した財源から上位過半数に減算を行うことで料率に差を付けるしくみです。
協会けんぽが過去の実績をもとに実施した試算では、平均的な被保険者1人1月あたりの保険料に換算すると最大で408円(事業者負担は204円)の差が生じるということです。
平成30年度から開始となり、来年度の取り組み結果は平成32年度に反映されるとしています。

成立にいたるまで

では当制度はどのように成立に至ったのでしょうか。
国は、平成25年に成立した「持続可能な医療保険制度の確立を図るための改革のための推進に関する法律」で、個人の選択を尊重しつつ、健康管理、疾病の予防、介護予防等において個人の自主的な取り組みを奨励するとし、健康維持のための自助努力を国が推奨することを明文化しました
超高齢化がすすむなか、保険料にかかる国庫の負担増必然で、当然といえば当然の流れのように思います。
さらに、平成27年には「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保健法等の一部を改正する法律」で、保険者が行う保健事業に、予防・健康づくりに関する被保険者の自助努力への支援が追加されたことにより、各健康組合が保険料率にインセンティブを導入する方向で調整が始まりました。
最終的には平成29年4月の社会保障審議会医療保険部会で方向性が示され、今回の具体的な内容決定に至っています。

働く人の健康確保のために

当制度がアメリカ型の階級消費医療を助長し、最終的には国民の負担が増えるのではないかと警鐘をならす意見もあります。
しかし、昨年導入されたストレスチェック同様に、労働者が多くの時間を過ごす会社(事業場)単位で、具体的に健康増進に取り組むための動機付けになりえますから、健康社会を築いていくうえで効果が期待できる制度改革ではないでしょうか。
健康に関しては、会社(事業者)内だけでは解決が難しいこともあるでしょう。

産業医や社外の保健スタッフなどとも協力して、働く人の健康確保をすすめていきましょう。

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