冬の脅威・ノロウイルスにも効果的な除菌ジェル

風も冷たくなり、季節も秋から冬を感じる季節になってきました。

冬に流行する感染症といえば、インフルエンザと並んで、「ノロウイルス」があります。
特に学校や保育園で流行が始まると一気に感染が広がり、嘔吐・下痢の激しい症状が出るのが特徴です。
感染力も非常に強く、小さなお子様をお持ちのご家庭では、子供の感染が一気に家族中に広がってしまった……というご経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

エタノールが効きにくいノロウイルス

スプレーするだけという手軽さから、企業の受付や飲食店などでスプレー式のエタノール消毒剤を目にすることも多くなってきました。

しかし、消毒剤スプレーは、インフルエンザや風邪には効くけれどノロウイルスには効かない……という話を耳にしたことがある方もいらっしゃると思います。
確かに、従来の手指消毒剤はエタノールが成分の中心だったため、エタノールがききにくいノロウイルスには効果が低いとされてきました。

しかし、数年前に発売されたいくつかの除菌ジェルは、ノロウイルスにも効果があるとされているのをご存知でしょうか?

新しい除菌ジェル どう変わった?

ノロウイルスや、白色の下痢が特徴のロタウイルス(今は乳児の頃に予防接種を受ける機会があります)、アデノウイルスは、ノンエンベロープウイルスと呼ばれ、エタノールや熱に強いという特徴がありました。

しかし、ここ数年で発売された除菌ジェルやスプレーの中には、中身を酸性に傾けることでよりエタノールの効果が発揮され、ノロウイルスを含むノンエンベロープウイルスにも効果的とされる商品があります。
以下の2点が、該当商品です。

手ピカジェルプラス(健栄製薬株式会社)
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ハンドラボ手指消毒ハンドジェル(サラヤ株式会社)
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使い方のポイントとしては、手荒れを少なくしておくことが挙げられるでしょう。
新しいタイプの除菌ジェルは、中身が酸性に傾いているため、手に傷があると沁みて痛みを感じやすいのがデメリットです。
感染を防ぐには、手洗い同様、手の先・指の間・手の甲にも除菌ジェルを塗り込むことが大切です。
そのため、傷があって除菌ジェルを塗り込む場所が限られてしまうと、十分な効果が期待できなくなってしまうのです。

除菌ジェル以外の対策も万全に

とはいえ、手指消毒剤だけに感染防止対策を頼るのは危険です。
特に保育園になんでも口に入れてしまうような小さなお子さまを通わせているご家庭の場合、お子さまが常に手を清潔にしておくことはなかなか難しいと思います。

お子さまがノロウイルスに感染し、吐瀉物を触ってしまったり処理をしている時に感染してしまうこともあるでしょう。

それを防ぐためには、やはり、複数の対策を取っておくことが大切です。

① 吐瀉物・汚物処理セットを身近に

小さなお子様の場合、吐き気を伝える前に吐いてしまうため、ウイルスが広がりやすくなります。
冬場は

  •  ビニール手袋
  •  大人用マスク
  •  消毒スプレーや次亜塩素酸ナトリウムを薄めたもの
  •  エチケット袋
  •  キッチンペーパー(汚物の拭き取り用※新聞紙は撥水性があるため、キッチンペーパーのほうがよい)
  •  ビニール袋(汚物を入れる)

これらを一式セットにして、すぐに手に取れる場所に配置しておくことが大切です。

② カーペットなど洗えないものにはスチームアイロン

カーペットなど洗えないものに汚物が付着した場合は、スチームアイロンを使った消毒方法が有効です。
1箇所あたり2分程度スチームを当てるとウイルスが死滅するという実験結果が発表されているため、汚物を取り除いた後、念入りにアイロンを当てましょう。
※ ハイターを薄めた次亜塩素酸ナトリウムなどでは、カーペットが変色してしまう可能性が高いです。
ちなみに、家庭用の布団乾燥機では、温度の上昇が不十分であるケースがあるため、除菌を徹底するには業者に頼むほうがよいとされています。
洗えるタイプの布団であれば、薄めた塩素系漂白剤(500mlペットボトルにハイター2㏄と水)に浸け置き後、家庭の洗濯乾燥機でよく乾燥させることも効果的です。

③ ドアノブや床のふき取り様に薄めたハイターを

薄めた塩素系消毒剤(200ppm以上:家庭用キッチンハイターを500mlペットボトルにキャップ2杯10㏄と水を入れたもの)を作られるように、準備しておきます。

ノロウイルス感染症は、健康な大人でも症状が重く出てしまうと、激しい嘔吐と下痢が続きます。
手軽に持ち運べる除菌ジェルも併用して、感染対策に努めましょう!

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中村 眞弓株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

企業での健康相談や産業保健の経験を生かし、「じっくり聴く・しっかり考える」保健師を目指しています。社員の皆様・人事の皆様と一緒になって企業の健康を支えていけるよう頑張ります。
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