社員用相談窓口は、どうすれば活性化できる?

170414%e8%9c%82%e8%b0%b7

ハラスメント対策に相談窓口は有効か

今年の1月から、企業は厚生労働省公表「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」等に基づいて、ハラスメント窓口を設けることが義務付けられました。

この窓口について、少し前のものになりますが、2012年に厚生労働省が実施した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」では、回答企業のうち、すでに73.4%の企業が、特に従業員数1,000人以上の場合は96.6%の企業が、社内または社外に窓口を設置済みであるという結果が出ています。
一方、同調査においては、実際にパワーハラスメントを受けた社員が、窓口に相談したのはわずか3.2%という結果も出ています。

「内部通報窓口」の実態

ここで視点を少し変えて、「内部通報制度」の窓口の状況を見てみましょう。
当該制度は、法令違反等の早期発見と未然防止を目的として設置されることが多く、通報対象の1つにハラスメントがあること、また企業のリスクヘッジという観点において、今回義務設置が義務付けられたハラスメント窓口と非常に似通った部分があるといえます。

今後ハラスメント窓口を有機的に活用するうえでのヒントが含まれていると思われます。
当該制度について、2016年にデロイト トーマツ リスクサービス㈱が実施した「内部通報制度の整備状況に関するアンケート調査」では、回答企業のうち94%が窓口を設置していました。

その一方で、直近1年間の国内の通報受信件数は10件未満の企業が72%という結果も出ており、こちらも前述のパワーハラスメントに関する窓口同様、活用が進んでいるとはいい難い状況にあります。

また、この調査では、いくつか興味深い示唆が記されています。

① 外部に窓口がある企業のうち、60%は顧問弁護士
顧問弁護士は企業の内情・実状に詳しいと考えられるため、詳細な情報提供や周辺環境の理解といった工程を合理的に省略することができ、 通報にすばやく対応できるという利点があるほか、倫理性、 守秘性、情報の完全性、可用性および通報受信後の事実確認調査を見越した傾聴能力、記録の確保などが同時に求められ、その点で適切だと考えられています。

② 内部通報制度の形骸化が懸念される
多くの経営者や担当者が「内部通報制度が形骸化しているのではないか」と懸念しており、実際のそれが前述の「直近1年間の国内の通報受信件数は10件未満の企業が72%」という結果にも表れています。

③ 敷居の低い内部通報窓口が受信する通報の性質
通報受信件数を向上させる方法については、受付チャネルの豊富さや開設時間の長さはそれほど影響せず、有効な方法は敷居を低くすることで、「おかしいと感じたら気軽に伝えてほしい」と周知することだとされています。

しかし、その結果、受信する通報の性質別内訳は上司への不満や同僚の勤務態度に関する意見等、職場の人間関係や労務問題に対するものが多数を占めます。

ただ、これについては通報がほとんど無い状態よりは幾分か健全であるとしています。

ハラスメント窓口のあるべき姿とは

この内部通報窓口を、ハラスメント窓口に置き換えて考えるとどうなるでしょうか。

① 窓口を医療の専門家にする
おそらくハラスメント窓口は、それ単独というよりも、健康やメンタルヘルスに関する窓口としても設置している企業が多いと思われます。
その場合は、医療の専門家である保健師などを窓口とすることで、相談者からの訴えにたいして、より具体的なアクション(企業の人事担当者や産業医との密な連携)が可能になるのではないでしょうか。

② 窓口の存在の周知徹底を図る
窓口を設置しているけれども、まったく使われていない……と嘆かれている人事担当者もいらっしゃることでしょう。
おそらくその要因の1つには、「窓口を設置したけれども従業員に周知をしていない」といったものがある場合も。
ポスターや社内SNSなどを用いて、積極的に周知に努め、まずは窓口の存在を従業員に知ってもらうことが肝要です。

③ 利用のハードルを下げる
前述の内部通報制度では、利用のハードルを下げる(「おかしいと感じたら気軽に伝えてほしい」と周知する)ことにより、上司への不満などが窓口に殺到するという結果が出ていますが、ハラスメント窓口においては、その不満のなかからハラスメントの一端をつかめる可能性もあります。
その点を鑑みると、どのような内容であれ、まずは利用してもらうことが最優先事項であるといえます。

窓口の存在の周知徹底を図る際には、「ささいなことでも相談してほしい」と添えることも重要でしょう。

なお、ドクタートラストでは、外部相談窓口サービス[アンリ]をスタートしており、この窓口は、上記のすべての要件を満たしています。
お気軽にご相談いただけますと幸いです。

<参考>
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002qx6t.html (厚生労働省「『職場のパワーハラスメントに関する実態調査』の報告書」)
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20160829-2.html (デロイト トーマツ リスクサービス㈱ニュースリリース「内部通報制度の整備状況に関するアンケート調査を公表」)

八巻那美

八巻那美株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

広く産業保健に関する情報をお届けします。

この著者の最新の記事

関連記事

衛生管理者の必携知識

  1. 過重

    健康診断の受診義務が過重労働対策になる!

  2. sasimi

    オフィスの防災対策、合言葉は「あえてさしみ」!

  3. 610

    デスクワークに殺されないために私たちがすべきこと

  4. 地球儀

    世界の労働時間ランキング、日本は何位?

  5. syamei

    違法長時間労働で社名が公表される企業、されない企業

一目置かれる健康知識

  1. jiritu
  2. nyuugann
  3. ドライアイ
  4. manindensya
  5. tabajo-675x400
  6. %e7%94%a3%e6%a5%ad%e5%8c%bb%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%83%e3%83%81
  7. 落ち込むビジネスマン
ページ上部へ戻る