ぜひ参考に!「働きやすく生産性の高い企業・職場」の取り組み

厚生労働省では、企業における生産性向上と雇用管理改善(魅力ある職場づくり)の両立の取り組みを促進するため、今年度より、「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」制度を開始しました。
人口減少下において日本が力強い成長を実現させるためには、労働者一人ひとりの労働生産性の向上を通じて「生産性革命」を図るとともに、各企業には、誰もが安心して働き続けられるような、働きやすく働きがいのある魅力ある職場づくりを推進することが求められています。
そこで厚生労働省は、「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」を創設し、「労働生産性の向上」と「魅力ある職場づくり」を両立させ、他の模範となるような優良な取組を行っている企業を3月10日に表彰し、広く国民に周知することしました。
初めての実施となる今回は、全国144の企業・職場から応募があり、 学識者・労使団体等の代表者などで構成する審査委員会での審査の結果、「最優秀賞」(厚生労働大臣賞)に3社、「優秀賞」(職業安定局長賞)に4社、「奨励賞」(職業安定局長賞)に8社の計15社が選定されました。
今回は、表彰された企業のうち最優秀賞3社、優秀賞2社の取り組みを紹介します。

第1回 働きやすく生産性の高い企業・職場表彰受賞企業
 ■ 最優秀賞(厚生労働大臣賞)

株式会社ディスコ

従業員数:3,015人 所在地:東京都大田区
業種:製造業(半導体ウェハー加工装置の製造) 生産性対3期前比:62.7%増

【「個人 Will 会計制度」による生産性向上と、社員が自らの意志で仕事を選択できる働きがいのある組織の実現 】
業務の遂行において、社内通貨である「Will」を用いることなどにより、社員一人ひとりが日常的な業務レベルで生産性向上を意識すること、仕事への主体的な意欲をもつこと、残業の削減を図ることなどを実現させ、働きやすく働きがいのある組織を作り出しています。

★社内通貨「Will」による生産性の向上と働き方改革
・新しい仕事が発生すると社内オークションにより、より安価な Will で入札した者が担当者になります。
・担当した仕事を遂行すれば、その落札額が自分の Will 会計の収入として計上され、担当する仕事は自分で選んだものなのでやらされる感がなくなります。
・自分の人件費相当額は自分の Will 会計の支出として計上されるので、人件費の高い者は Will 落札額の高いより困難な仕事に入札。
・自分の仕事の一部を他人に依頼すると、自分の Will 会計の支出として計上されるのでコスト意識がでてきます。
・残業をすると、自分の Will 会計の支出として計上されるので残業削減が図られます。
・そのほか Will は、投資制度を通じた社内プロジェクトの価値の見える化や、社内研修による人材育成にも効果的。
・個人の Will 会計の収支はボーナスの一部に反映。
★勤務地自由選択制度の導入(勤務地についてライフスタイル等に応じた場所の選択が可能)
★FA 制度の導入(キャリア向上等のために異動先を自ら選択可能(異動元の所属長は拒否不可))
★配当連動インセンティブの導入(株主配当総額の1%相当を従業員に支給)

SCSK株式会社

従業員数:7,354人 所在地:東京都江東区
業種:情報通信業(ソフトウェア、システムの開発・販売) 生産性対3期前比:13.5%増

【 経営トップのイニシアティブによる働き方改革運動の取り組みと、業務のクオリティ・職場コミュニケーションの変革による生産性向上 】
2011年の経営統合を機に「人を大切にします」という約束を掲げ、経営トップが強いイニシアティブを発揮して社員の健康を重視する健康経営を推進しました。
2013年からは働き方改革運動「スマートワーク・チャレンジ」を実施し、その結果、営業利益の連続増益、残業時間の削減、有給休暇取得率の上昇を達成しています。

★経営トップは、健康的な働き方を優先することについて、それによる一時的な業績ダウンも覚悟すると明言し、顧客にも自ら手紙を書き理解を求めるなど強いリーダーシップの下で推進。
★設計プロセスの強化を中心とした業務プロセスの見直しを図り、作り直し作業による納期に間に合わせるための長時間残業を防止し、生産性を向上。
★コミュニケーションが取りやすい規模への組織単位の改編、1週間先までの全社員の予定の見える化、仕事のバックアップ体制の整備による休みやすい環境の構築など、コミュニケーションを重視した組織改革の実施により仕事のシェアが広がり、残業削減が実現。
★残業の有無にかかわらず一律支給する手当の導入など、減少した残業代を全部還元する制度とし、社員が所得減を気にせず業務の効率化に取り組める制度を構築。
★有給休暇取得率は 95%となっているが、100%取得を躊躇しないように、病気等の不測事態に利用できるバックアップ休暇(年5日)を導入。

株式会社河合電器製作所

従業員数:133人 所在地:愛知県名古屋市
業種:製造業(電気ヒーターの開発・設計・製造・販売、熱技術のコンサルティング)
生産性対3期前比:12.4%増

【 生産性の高い多品種少量生産の研究開発型企業への転換と、「規則より風土」を合い言葉とした従業員の希望に応じた自由な働き方の選択 】
家電メーカーの下請的な仕事の仕方から脱却し、高付加価値な製品を生み出す企業に転換を遂げました。
そこには、顧客と一緒に新しいものを創り出していくという経営理念と、製造業を面白くしたいという社長の思いがあり、社員同士の「感情の交流」を大切にし、社員が自分の都合に合わせて働けるようにしています。

★「世の中にはないけれども、こんなモノできない?」という顧客からの相談に寄り添った新製品開発を推進(「ゼロイチ」プロジェクト)。大量生産から脱却した、多品種少量生産の研究開発型企業へ転換
★アメリカ市場を9年かけて開拓。国内製造にこだわり、輸出で売り上げが伸長
★従業員の「感情の交流」を重視したコミュニケーションによる「意欲向上」と「ミス減少」
・広く従業員が交流できる機会を提供するため、各種社内イベント、組織横断プロジェクトを積極的に実施
・従業員がお互いに高め合う機会を提供するため、2週間に1度、仕事以外のテーマでディスカッションを実施
★「規則よりも風土」を合い言葉とし、大きくない企業の強みを生かし、「お互い様精神」を活かして、各人の希望に応じて自由な選択で働ける職場環境を作り出しています

 ■ 職業安定局長賞(優秀賞)

大豊工業株式会社

従業員数:1,970 人 所在地:愛知県豊田市
業種:製造業(軸受製品、アルミダイカスト製品等精密金型の製造および販売)
生産性対3期前比:7%増

【 技術・品質・原価の徹底追求による高付加価値製品の創出と、雇用改善の推進 】
トライボロジー(摩擦・摩耗)のスペシャリストとして高い技術力に基づく製品開発を行うとともに、現場の徹底的な改善力やモチベーションを引き出す仕組みを設けることにより、高付加価値製品を生み出して生産性をあげ、同時に従業員の処遇改善や働きやすい職場づくりを進めています。

★車両の燃費改善に貢献する「樹脂コーティング軸受」の量産に世界ではじめて成功し、高付加価値製品として海外メーカーへの販売を進めることにより生産性向上を実現
★従業員に、ものづくりにおいて自ら改善する楽しみやメリットを実感させ、モチベーションアップにつなげていく取り組み「燃える職場・社員総活躍プロジェクト」を推進
・安全・品質・生産の維持向上のために定められた「標準作業」の「徹底」と「改善」の SDCA(標準化・実施・異常処置・是正処置)
・QC サークル活動の活性化(関連会社を含む QC 大会の開催、QC 全国大会への出場など)
・作業上の困りごとや改善アイデアを従業員がすぐにボードに貼り付け、それをすぐに対応
・社内での継続的な技能伝承を目的としたスキルアップ制度、教え・教えられる風土の醸成
★バキュームポンプの開発と、その生産工程における「改善」による生産性向上
★3年連続ベースアップ、契約社員の正社員化、派遣社員の直接雇用化などによる従業員の処遇改善
★社内託児所の設置、育児・介護・配偶者の転勤等による離職者の再雇用制度導入などによる働きやすい職場づくり

旭テクノプラント株式会社

従業員数:94人 所在地:岡山県倉敷市
業種:建設業(電気設備、水処理施設、受変電施設等のプラント設計・施工管理、植物工場の研究・開発・運営)
生産性対3期前比:62.2%増

【 全社員参加型経営による生産性の向上と、モチベーション高く働ける環境の実現 】
社員が全員参加型経営を実感できる「経営会議(全社員参加会型)」などの仕組みや、先輩社員が講師となった技術伝承共育などにより、生産性の向上とモチベーション高く働ける環境を実現しています。

★全員参加型経営により社員の意欲を引き出し生産性を向上
・「経営会議(全社員参加型)」の実施
・上司の承認なしに提案できる「創意工夫提案制度」の実施
・毎日全社員に全体朝礼の内容を部門ごとにメール(約7割の社員が現場に行くため、朝礼に参加できない人にも共有)
・「Powerbook」の配布・活用(経営理念や社員・家族の誕生日等が記載されたスケジュール帳)
★先輩社員が講師となった技術伝承共育(「旭テクノアカデミア」)
・知識、マナー、品質、対応力・技術力の向上
★モチベーション高く働ける環境の実現
・「奨学金返済制度」「大学院進学・資格取得支援制度」「入社前準備金制度」
・年1回の「社員研修旅行」(国内や海外)
・社員が社員を称賛する「ありがとうカード」制度

いかがでしょうか?
今回紹介した事例で皆さんの企業において取り入れられる部分があれば、ぜひ活用してみてください。

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